令和6年6月6日に開催された参議院法務委員会において、和田政宗参議院議員が外務省に対して「トルコからの抗議を受けて、国際テロリズム要覧を改変した」と猛批判を展開。明らかに「トルコは強権政治の国であり、トルコの主張を受け入れるなどケシカラン」という主張でした。そして、和田政宗議員は、下記のコメントで締めくくります。 

恣意的にテロリストだとかテロ支援国、また強権政治の国が言ったことを我が国がそのまま受け入れるというようなことになると、これ例えば正規在留の外国人の方々が困難な状況に置かれたりですとかそういうような状況になりますので、我が国の今回法令に基づいて発行されたものが外務省によってゆがめられたというのは我々は厳しく認識しないといけないと思いますし、これ引き続き追及していきます。

これって、普通の人が読めば、「PKKはテロリスト集団だ」というトルコ政府の主張をそのまま受け入れると、正規在留(しているPKKのクルド人)の外国人の方々が困難な状況に置かれたりする、ということに対して、和田議員が抗議しているとしか読めない。ということは、「和田議員はPKKの味方」という論理になるわけです。

それにもかかわらず、「PKKの味方」と言われたことに激怒して、「訴訟するゾ!」と脅しつけるというのは、
① 私が必死に守っているクルド人は、トルコ政府から「PKKに関係がある」と認定されているが、その認定はトルコ政府の誤りである、
② 図星だったので、脊髄反射的に発言してしまった、
③「私はPKKの味方だ」というストレートな文章で表現したことはない、
④「権力者である政治家に楯突くものはすべて悪だ」と思っている、
⑤ 日本語能力が極めて弱い、
のいずれかに相当するのだろうが、果たしてどれなのだろう。

万が一、①なのであれば、その事実を立証すべきだと思いますが、②~⑤であるとすれば、言葉を「武器」とする政治の世界には向かないような気がします。念のため申し上げます。和田先生のことを「PKKの味方」だなんて言っちゃダメですよ。訴えられますから。

***********************************

和田政宗先生に興味をお持ちの方は、熟読していただきたいのですが、

第213回国会 参議院 法務委員会 第16号 令和6年6月6日

(自由民主党 和田政宗)国際テロリズム要覧二〇二三のネット公開削除問題についてお聞きをいたします。国際テロリズム要覧二〇二三は、公安調査庁が国連安保理決議や国内外の法令に基づき公式に発行したもので、記述に何ら問題のないことは法務大臣や公安調査庁の答弁からも明らかです。それなのにネット公開が削除をされたわけですけれども、その過程で、トルコが日本に抗議をした、日・トルコ首脳会談でトルコ側から提起されるといった説明が、私に対し政府内の部局からありました。トルコは、テロ組織ハマスを全面支援し、政権へ異議を唱える人物を恣意的にテロリスト指定しています。そうした国の抗議によって、我が国が公式に発行した国際テロリズム要覧二〇二三のネット公開が削除に至ったのであれば、これは極めてゆゆしきことです。外務省担当者は私に対し、国際テロリズム要覧二〇二三についてトルコから抗議があったと話しましたが、外務省から、これ聞いたところ、明確な答弁がありません。これは外務省の官房長に聞きますけれども、これ担当部局長ではなく、外務省職員を総合的に管轄するのは官房長でありますので、官房長の責任の下、はい、いいえで答弁してください。 

(外務省大臣官房長 志水史雄)御指摘の説明につきましては、外務省の担当者から、トルコ本国におきましては、本件のウェブサイト更新に関する多くの報道があり、照会等が寄せられている旨、また政府内では公安調査庁を中心に対応を検討中である旨、説明差し上げたものと認識しております。

(和田政宗)トルコから抗議があったということ私聞いているんですが、これについて、はい、いいえでお答えいただきたいんですが、言ってないということなんですか。
 
(志水官房長)何をもって抗議というかは一概に定義付けることは難しいと存じますけれども、いずれにいたしましても、繰り返しで恐縮でございますが、外務省の担当者からは、トルコ本国では、本国のウェブ、本件のウェブサイト更新に関する多くの報道があり、照会などが寄せられているとの趣旨を説明差し上げたものと認識しております。

(和田政宗)これ、外務省担当者と私のやり取りについて、外務省は録音を持っているんでしょうか。
 
(志水官房長)私の理解するところでは、担当者からの発言につきまして、担当者、説明したものでございますけれども、この説明したものについて、まず録音があるとは承知しておりませんし、また、本人に確認いたしましたけれども、一言一句正確に、どう話したということ、どう話したかについて記憶が正確、明確ではないですけれども、また詳細なメモがあるわけでもございませんけれども、先ほど申し上げた趣旨を御説明差し上げたということでございます。

(和田政宗)文言でトルコから抗議があったということを私は明確に証拠としても持っているんですけれども、これは、そこは曖昧だということなんですね。言ったか言ってないかは分からないということなんですか。どうなんですか。

(志水官房長)繰り返しで誠に恐縮でございますけれども、何をもって抗議というかは一概に定義付けることは難しいということではございますけれども、いずれにいたしましても、外務省の担当者からは先ほど申し上げた趣旨を御説明差し上げたというふうに認識しているところでございます。

(和田政宗)これ、言ってないというまでは外務省は言えないということでよろしいんですね。これ、外務省の答弁、これ私、国会議員の責任を持って証拠に基づいて言っているわけですから、これ本当に責任問題になりかねないですよ、官房長の答弁も。

(志水官房長)本当に誠に申し訳ございませんけれども、繰り返しでございますが、何をもって抗議というかは一概に定義付けることは難しいということではございますけれども、外務省の担当者からは先ほど申し上げた趣旨を御説明申し上げたというふうに認識しているところでございます。

(和田政宗)このやり取り、官房長として責任を持って発言しているということでよろしいですね。

(志水官房長)官房長として責任を持って答弁しているところでございます。
 
(和田政宗)これは改めて、日を改めて詰めていきたいというふうに思いますが、ここではこれ以上言及しません。これ、ただ、極めて重大なことになりますよ。次に、五月二十三日の法務委員会での外務省答弁。なぜ外務省が公安調査庁にネット公開を削除させたのかということを私が質問したところ、それまではハマスやPKK等複数のテロ組織について言及をしていた答弁が、PKKのみへの言及となりました。これはなぜなんでしょうか。

(外務省中東アフリカ局長 安藤俊英)御指摘の説明につきましては、五月二十三日の法務委員会の冒頭からトルコについて御指摘がございましたので、トルコが、同国がテロ組織と認定するクルド労働者党、PKKについて言及したものでございます。その上で申し上げますと、四月十八日の法務委員会にて答弁いたしましたように、我が国は、先般のハマスによるテロ攻撃や、これまでPKKが実施したとされるテロ攻撃について断固として非難してまいりました。我が国にはテロ組織を法的に認定する法制度はございませんが、我が国は、平成十五年、二〇〇三年でございますけれども、九月三十日付けの閣議了解により、ハマスについてテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象とし、昨年十月のハマスによるテロ攻撃以降、閣議了解により、ハマス関連の計二十二個人及び五団体をテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としてございます。また、PKKにつきましても、平成十四年、二〇〇二年七月五日付けの閣議了解により、クルド労働者党、PKKに対しテロリスト等に対する資産凍結等の対象としております。

(和田政宗)これ私、トルコについてこれずっと、その抗議があって結局外務省が公安調査庁に削除をさせたということの趣旨でずっとやっていますけれども、ずっとハマスとPKKということで答弁をしていたのに五月二十三日はPKKのみというようなことで、これもう、トルコから抗議があったということが念頭にあるということはこれはもう明らかだと思いますよ、これもう。私はしっかりとトルコから抗議があったということは聞いていますし証拠もありますから、これはもうお認めになった方がいいというふうに思います。国際テロリズム要覧二〇二三のネット公開削除において、法務大臣は当時の外交的な状況等を踏まえてということで答弁をしております。上川外務大臣は外交的な状況を判断するのは専ら外務省だと答弁をしておりまして、外務省が公安調査庁に削除を求めたことは明らかでありますが、外務省はこれを認めるべきだと思いますが、どうでしょうか。

(安藤局長)御指摘のウェブページにおきましては、ハマスやクルド労働者党、PKKなどに対する日本政府の立場について一部誤解を招いたことから当該ページを削除し、主なテロ組織等については国際テロリズム要覧二〇二二の内容を参照いただきたい旨が公安調査庁のウェブサイトに記載されていると承知しております。政府内部の検討プロセスについてつまびらかにすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、国際テロリズム要覧二〇二三の関連ウェブページの削除につきましては、公安調査庁を含む政府全体で適切に検討、判断を行ったものと考えております。

(和田政宗)もうこれ、当時の外交的な状況というのは外務省でしか判断できないんですから、外務省が公安調査庁に削除要求をしたというのはこれ明らかなんですが。繰り返し申し上げていますが、国際テロリズム要覧二〇二三というのは、公安調査庁が国連安保理決議や国内外の法令に基づき公式に発行したものでありまして、これは、外国から抗議が受けたとか外国の報道ぶりがどうだとかといってこれ削除するというのはおかしなことであり、外務省はもう、公安調査庁の現場からもいろいろ聞いていますけれども、もう外務省がこれ圧力を掛けて削除をさせたというのは、これ我が国の歴史上も極めてゆゆしきことであるというふうに思っています。五月二十日の決算委員会で上川外務大臣は、トルコについて、ハマスと一定の関係を有し影響力を行使することができると述べていますが、一定の関係を有し影響力を行使できるとは、これ何なんでしょうか。

(安藤俊英)五月二十日の決算委員会で上川大臣から答弁をしましたとおり、トルコは、四月にもハマスのハニーヤ政治局局長がトルコを訪問しエルドアン大統領を表敬するなどしており、こうした会談が行われていることからも、トルコはハマスとの間に一定の関係があり、また人道支援等を通じてハマスに一定の影響力を有しているというふうに考えております。

(和田政宗)これ、イスラエルとハマスの戦闘は、この中東情勢についてはいろいろな御意見が皆さんあると思いますが、ハマスが越境テロ攻撃をしてイスラエル人千二百人を殺さなければ、これは今の状況になっていないわけですよ。ハマスは我が国もテロ組織として認定していますよね。これ、ハマスというテロ組織を支援しているトルコと外務大臣はテロ対策協議を行っていると答弁しています。これ、テロ組織の支援国とテロ対策協議を行う意味って何なんでしょうか、お聞きします。

(安藤俊英)トルコは、世界最大数のシリア人の難民を受け入れ、またISILなどテロとの戦いを推進するなど、地域の平和と安定に重要な役割を担っていると認識しております。トルコとの間のテロ対策協議につきましては、二〇〇六年、平成十八年十二月に第一回協議を行った後、これまでに五度実施しております。国際テロ、治安情勢に関する認識の共有や両国のテロ防止に向けた取組等について意見交換する有意義な機会となっていると考えております。

(和田政宗)まとめますが、ISILのことを言いましたけれども、米国政府の公式サイトは、懸賞金を懸けて、一千万ドルの懸賞金懸けて、トルコ国内からのISILへの資金提供について情報提供を呼びかけて、これ非難しているんですね。外務省の認識、極めてこれ甘いというふうに思います。そして、冒頭、二問目に申し上げましたとおり、こういうことを許容して、恣意的にテロリストだとかテロ支援国、また強権政治の国が言ったことを我が国がそのまま受け入れるというようなことになると、これ例えば正規在留の外国人の方々が困難な状況に置かれたりですとかそういうような状況になりますので、我が国の今回法令に基づいて発行されたものが外務省によってゆがめられたというのは我々は厳しく認識しないといけないと思いますし、これ引き続き追及していきます。