入管法は「在留カードを携帯する義務」と「偽造在留カードを所有することの罪」を定めているが、外国人の3~4人の中で1人は「在留カードを携帯する義務」を知らない。また、「偽造在留カードを所有することが罪であること」についても、2人に1人が知らない。したがって、入管が原理原則で厳しく指導しなければ、外国人の規律を保つことなど絶対にできない。しかし、いまの入管は原理原則を失っているので、外国人はどんどん規律をなくしていく。

あるスリランカ人は不許可になり、「出国準備」のための「特定活動」になった。原理原則で言えば、当然出国しなければならない。一昔前であれば、「帰国したくない」と渋る外国人に対しては、入国警備官を呼んできて、「あのオジサンに牢屋に連れていかれることになるけどいいのかな」という小芝居を演じることにより、全員を出国させていた。しかしいまは、そんな話は聞かなくなった。結局、このスリランカ人は「おカネがないから帰国できない」とごねて、「短期滞在」に変更することを勝ち取った。「出国準備」から「短期滞在」への変更というのは、原理原則ではあり得ない。5年前であれば、あり得なかったことが普通に行われるようになった。

あるカメルーン人の事例。観光ビザで来日した彼は、企業から内定をもらって在留資格の変更申請をしたいと申し入れてきた。原理原則で言うと、「短期滞在ビザ」から「就労ビザ」には変更できない。それで「一度帰国することを前提とする認定申請になるけどよいか?」ということで合意して認定申請を行った。ところが、レフト系弁護士に唆されて難民申請した後、「難民申請中」の「特定活動」が許可されてから、彼の態度が急変。「帰国しなくてよい申請ができるはずだ」とごね始めた。議論は平行線で、彼は「入管で相談する」と主張。原理原則で言えば、「観光ビザ」から「就労ビザ」に変更することはできないから、入管の窓口で諭されれば理解するだろうと思っていたところ、入管の窓口は「帰国したくないのであれば、国内の申請に切り替えて下さい」と指導。5年前であれば、あり得なかったことが普通に行われるようになった。

また、あるスリランカ人は、難民申請の常習犯。何度も難民申請を繰り返し、その度に「出国準備」や「短期滞在」を得て、7年間在留してきたが、遂に入管も堪忍袋の緒が切れた。難民申請を不許可にして「帰国しろ」と通告し、「出国準備」も「短期滞在」も出さなかった。原理原則で言えば、オーバーステイだから、収容すべきところ。ところが彼は収容されることなく放置された。入国警備官から呼び出し状が届いたのは4ヶ月後。出頭日はその2ヶ月後だから、6ヶ月も社会の中に放置したことになる。彼は、出頭したが、「帰国しなさい」「帰国したくない」という水掛け論。結局、1ヶ月後に身元保証人を連れてくることに。1ヶ月後に彼が身元保証人を連れてくると、入国警備官は「本当だったら彼は収容しなければならないが、保証金を10万円支払うのであれば、仮放免という扱いにする」と発言。要するに、入管の現場は、原理原則を失って、書類上の辻褄合わせをしているだけ。5年前であれば、あり得なかったことが普通に行われるようになった。

入管が原理原則を失っているから、外国人は規律をなくす。この間来たネパール人の2人組は、会うなり唐突に「難民申請のやり方を教えてほしい」と要求してきた。「仕事ならある。もう働いている。手続だけ教えてほしい」ということなので、在留資格を確認すると「観光ビザ」。明らかな不法就労だ。難民申請の理由も「怖い人からおカネを借りた」とか「付き合った女性の旦那から殺すと言われている」など極めていい加減。「政府から迫害されていないから申請できないよ」と言うと、「だったら、政府に迫害されているということでいい」という始末。要するに、「難民申請」は、単に「在留できる簡単な手段」になっている。彼らには犯罪の意識も、悪いことをしているという認識もない。この10年間で1000人以上の難民申請者と会ってきたが、本物の難民に出遭ったことはない。無論、どこかにはいるのだろうが、極めて少数であることだけは間違いない。

ドバイで出稼ぎをしていたパキスタン人4人組もやってきた。「お酒が飲めないし刑罰が厳しいので、ルールが緩くて働きやすい日本に来た」という。「働けなかったら生活保護がもらえる」とも言っていた。驚いたのは、彼らが難民申請したときに、入管の窓口が「1ヶ月で在留カードがもらえるのでまた来てください」と言ったということ。真っ当な在留資格で在留している外国人は、入管の窓口から、そういう優しい台詞を言ってもらったことがない。2ヶ月経っても結果が出ないときに入管に何度問い合わせても「審査中です」と言われるだけだから。

サウジアラビアで出稼ぎをしていたスリランカ人3人組は「日本はオーバーステイでも収容されないし、強制送還にもならない優しい国だ」と聞き、「観光ビザ」で来日し、難民申請した。そのうちの1人は入管からのハガキをもらって「working permitをもらった」と喜んでいたが、実際は「難民申請中」の「特定活動」で「就労不可の2ヶ月」。しかし、彼らの認識はこんなもの。直前に母国以外の国で働いていた外国人が「難民」のはずがない。そんなことはパスポートをチェックすればわかることなのだが、こういうインチキ難民申請すら、入管は受理している。ここまであからさまな「偽装難民」が増えたのは、原理原則を失った入管の自業自得だとしか言いようがない。

つい最近やってきたパキスタン人は、「観光ビザ」で来日してから、難民申請を4回行い1年間在留した「あからさまな偽装難民」。改正入管法が施行されていたので、入管の窓口が「3回以上の難民申請は受け付けられない」として、難民申請を受理しなかったのはよいのだが、「観光で来日した場合でも就労ビザに変更できれば在留し続けられますよ」と余計なアドバイス。これは、明らかな入管法第20条3項違反。5年前であれば、あり得なかったことが普通に行われるようになった。「短期滞在ビザは就労ビザに変更できない」という「5年前の常識」が否定され、「短期滞在ビザでも特別の事情があれば就労ビザに変更できる」という「新しい常識」がまかりとおっている。

こんな状況だから、それを前提とする商売が盛んになっている。「日本で出稼ぎしたい」という海外在住の外国人に「特定技能」を許可させるビジネスを営んでいる日本国内のブローカーと外国人との SNS での会話を垣間見ると、海外の顧客から「特定技能で申請しましたか?」という問いに対して、「まず短期滞在ビザで来日して、日本で特定技能に変更する」と言っている。実際、「短期滞在ビザを就労ビザに変更する」という文言で検索すれば、この「反則技」に加担している行政書士やブローカーの HP がたくさんでてくる。入管が原理原則を失うと、加速度的に「無法地帯」が広がっていく。

こういうのを見せ付けられると、「入管の不公平や不公正」に腹が立つ。最近の事例で言うと、あるスリランカの女性は、母国の大学を卒業して、マネジメントで学士を取得して、日本語学校で日本語を学び、内定をもらったので「技術・人文知識・国際業務」への変更を申請。内定した企業は年商20億円で10店舗以上経営しているフルーツパーラー。彼女と同時期に内定をもらって、同じ内容で申請した外国人3人は全員許可が出た。しかし、彼女は不許可。入国審査官によると、不許可の理由は「飲食店の運営は単純作業だ」と言う。

この問題は、4年前に「実務研修ガイドライン」が公表されて「技術・人文知識・国際業務」に相当しない業務でも、「実務研修」としての要件を充たした場合許可するという見解を出している。しかも、この内定企業は「実務研修」について説明している。それなのに不許可。入管法を無視して難民申請を繰り返し不法就労に従事している外国人と、大学を卒業し入管法を遵守して就労しようとする外国人のどちらが日本の国益に適っているかは明らかなのに、入管には常識が通じない。

とはいえ、こんな事例は珍しくないし、「入管の審査が如何にいい加減か」はよく知っている。だから、そのこと自体に腹は立たない。入管は多忙だし、しっかりとした研修も行われておらず、前任者からの引継ぎだけで審査していることも、関係者なら誰でも知っている。申請数は増加しているから、こういう事例も出てくるのは仕方ない。5年前であれば、そう自分に言い聞かせていただろう。

5年前に時を戻そう。当時の入管は、オーバーステイを収容していたし、「短期滞在ビザ」を「就労ビザ」に変更することはなかった。その意味で、入管には原理原則があった。原理原則という大きな幹が守られている限り、「実務研修ガイドライン」という枝葉の解釈論で不許可になっても許容範囲だった。入管も人間だからミスはある。そのこと自体は仕方ない。

しかし、いまは原理原則の大きな幹がユルユルで、入管は、オーバーステイになっても収容しないし、「短期滞在ビザ」から「就労ビザ」に変更できるという反則技が横行している。だったら、枝葉の解釈論で不許可にしたらダメだろう。枝葉の解釈論で不許可にするのなら、オーバーステイという明らかな犯罪者は全員収容しないとダメだし、「短期滞在ビザ」から「就労ビザ」への変更を認めてはいけない。

こんな入管行政は、明らかに「不公平で不公正」だ。小泉龍司大臣は、大臣就任時の訓示で「公平で公正な社会の実現」の重要性を説諭したが、入管は「不公平で不公正な行政」を日々行っている。こんなダメダメ組織は、警察庁に吸収させて、オーバースティの摘発だけを仕事にさせたほうがいい。



ドバイで出稼ぎしていたパキスタン人4人。「お酒が飲めないし刑罰が厳しいので、ルールが緩くて働きやすい日本に来た」という。「働けなかったら生活保護がもらえる」とも言っていた。難民申請したら、入管は「1ヶ月で在留カードがもらえるのでまた来て下さい」だと。

【読む・観る・理解を深める】
【同化主義①】エマニュエル・トッド:欧州で「多文化共生」は悲惨なほどに失敗した。
【同化主義➁】「多文化共生」という机上の空論を棄て、「同化主義」を採用すべき。
【同化主義③】移民政策は賛成か反対かで論じられるものではない。
【同化主義④】欧州では、移民政策が野放図で、国内が混乱している。
【同化主義⑤】日本保守党の移民政策は、意外にも現実的!?
【同化主義⑥】外国人の「ルール文化」は日本人と異なる。厳罰されるまでルールは守らない。
【不法残留問題①】不法残留する外国人は、年末に10万人を超え、30万人を目指す!
【不法残留問題②】2023年末に不法残留する外国人が10万人に達するのは防げない!
【不法残留問題③】不法残留する外国人は一度増えてしまうとなかなか元に戻らない!
【不法残留問題⑩】不法滞在した親まで在留特別許可を与えるのなら不法残留者は必ず収容せよ! 
【難民申請者①】難民のはずなのに「就労ビザが許可になったら帰国したい」と言う。
【難民申請者➁】難民のはずなのに「就労ビザを申請したら帰国したい」と言う。
【難民申請者③】日本語ができないのに「Office Work がやりたい」と言う。
【小泉龍司法務大臣①】小泉龍司法務大臣は何もする気がない。
【小泉龍司法務大臣②】小泉龍司法務大臣の発言には、何にも「中身」がない。
【小泉龍司法務大臣③】小泉龍司法務大臣は「無難」という方針しかない。
【小泉龍司法務大臣④】小泉龍司法務大臣の大臣訓示は、やっぱり何が何だかよくわからない。
【小泉龍司法務大臣⑤】小泉龍司法務大臣のHPは、入管行政で何をしたいのか全くわからない