全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

タグ:転職支援

l  昨秋の臨時国会では、技能実習生の劣悪な労働環境が問題視され、一部の弁護士らが「これは失踪ではない。人権を蹂躙された故の緊急避難だ」と強弁した結果、盗みを働いた実習生でも、「誠実に働こうと思っていたのに」と告白すれば、悲劇のヒーローとして扱われるようになりました。

l  本来であれば、「技能実習」自体を改革すべきなのに、「特定技能」に矛先が向かった結果、摩訶不思議な制度が誕生。典型的なのが、「外国人の責めに帰すべき事由によらないで、雇用契約を解除される場合において、転職支援を行わなければならない」という義務と、「企業の責めに帰すべき事由により、外国人の行方不明者を発生させた場合、1年間、特定技能外国人を雇用できない」という罰則です。悪辣な弁護士は、必ずここを攻めてきます。

l  マスコミは、企業性悪説・外国人性善説に基づいて、「①悪い企業➡②搾取される外国人➡③正義の弁護士」という展開で語りがちですが、実際にこれから発生するのは、「嘘をつく外国人➡②悪徳弁護士➡③恐喝される企業」という地獄絵図。「特定技能」を扱う企業はディフェンスを固めるべきです。

【Timely Report】Vol.366(2019.3.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


  外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  「特定技能」は、実務家の検証を経ることなく、既存制度の継ぎ接ぎの上に、雑多な要望を混ぜこぜにしてしまった在留資格なので、様々な部分で不都合が出てきます。離職する外国人の転職支援を義務付けるというのは、その最たる事例ですが、銀行口座や携帯電話でも政策の矛盾が表面化しています。

l  「特定技能」では、すべての外国人の銀行口座を開設するように求めていますが、金融庁は、銀行に対して、マネーロンダリング対策を強化することを要請しており、安直な銀行口座の新設を戒めています。銀行からは、「アクセルとブレーキを両方踏むようなもの」という嘆き節が聞こえてきます。携帯電話に関しても、総務省が、外国人が携帯電話の契約をしやすいように手続きなどを簡単にするよう携帯各社に要請しましたが、世界標準であるプリペイド携帯を普及させようとはしません。犯罪での悪用を恐れるからです。

l  要するに、現場や実務を無視して、困難な課題を設定しておきながら、解決策については民間に丸投げ。当局側は「うまくやってくれ」と要請した形を作れば、「アリバイは完璧」というのでしょうか。

 【Timely Report】Vol.419(2019.6.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


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特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  鳴り物入りで導入された「特定技能」が遅々とした動きではありますが、徐々に進み始めました。各国との二ヵ国協定の締結も進捗し、外食分野や宿泊分野、自動車整備分野における許可など、業種にも広がりが見えてきました。

l  しかし、関係者にとって悩ましいのは「転職」。転職禁止の「技能実習」とは異なり、「特定技能」の場合、日本での就労が認められている業種の枠内であれば転職が自由です。特に地方では、「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が、特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏に行ってしまう」などの不安を抱く経営者が少なくありません。

l  実際は、転職の際に入管による在留資格変更許可が必要なので、簡便に転職できるわけではありませんが、転職先に入社するまでの間、「転職支援」がどこまで求められるか不明という問題もあります。そういうこともあり、「特定技能」の雇用が可能な企業に聞いても、「特定技能は検討していない」(45.2%)と「よく知らない」(18.4%)を合わせた消極派が3社に2社(計63.6%)。「特定技能」が「技能実習」を凌駕する日はまだまだ遠そうです。

【Timely Report】Vol.547(2019.12.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。


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l  定員超過の留学生を入学させていた東京福祉大系列の「保育・介護・ビジネス名古屋専門学校」で、在留が認められず30日以内に帰国するよう告げられる留学生が増えています。入管庁による在留期間更新の審査が厳格化しているためで、中には、出席率70%でダメと言われたケースもあるようです。

l  本件で、一番悪いのは専門学校であり、次に悪いのは、監督せずに放任していた県や入管。アルバイトに精を出していた留学生に罪はないとは言いませんが、悪者としてはせいぜい三番手です。ところが、二番手の県や入管は全く罰せられることなく、一番手の専門学校を罰するために、三番手の留学生に対して厳罰を断行。定員超過の情報が公開されていない以上、彼らは詐欺に遭った被害者の立場のはず。これは、あまりにも理不尽です。

l  「特定技能」の場合、雇用していた外国人を解雇するときに、転職支援が義務付けられました。一般企業にそこまでの義務を課すのであれば、「留学」の場合、通学していた学校に問題が生じたときには、その学校が責任を持って、留学生の転校支援を行うように義務付けるべきではないでしょうか。


【Timely Report】Vol.468(2019.8.14号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
留学ビザは締め上げられる?」も参考になります。

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l  改正入管法について、安倍首相が「いわゆる移民政策ではない」と言い張ることについて、昨秋から、マスコミや識者は、国連やOECDの定義を掲げて散々批判を繰り返し、「移民か否か」に関する自説を数多く垂れ流してきました。「いわゆる移民政策」という表現自体、定義が曖昧であり、明確な定義を示さないことによって、都合よくその場その場で解釈して逃げおおす「官僚答弁」の典型的な手法。安倍首相の論理に無理があることは明白です。

l  未だに、この「移民禅問答」にこだわる論評も散見されますが、気になるのは、改正入管法や政省令を吟味すれば、住宅確保、十分な理解、教育訓練、健康把握、一時帰国、帰国旅費、苦情・相談、行方不明、転職支援、検査範囲など実務的には問題山積なのに、マスコミや識者と自称する方々が、法制度に関する具体的な批判を一向に展開しないことです。要するに、「移民か否か」という誰でも簡単に論評できる議論には参加するけれど、法令を読み込んだ上で、入管が回答に窮するほどの追及をするつもりははないということなのでしょうか。底の浅い評論など何の役にも立たないのです。

【Timely Report】Vol.371(2019.3.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  「特定技能」の外国人を雇う気満々の経営者も少なくないと思います。でも、「日本人と同じように扱えばいいだろう」と思っていませんか? マクリーン事件の最高裁判決(1978年)においても、「憲法による基本的人権の保障は、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきである」と判示されていますから、憲法上は「日本人同等でよい」ような気がします。

l  じつはその考え方、「特定技能」については大間違い。というのは、今回の入管法改正で、「アファーマティブ・アクション(外国人の不利な現状を是正するための改善措置)」が埋め込まれたからです。例えば、住居に関して会社が保証人になるとか、雇用契約が終了する際には転職支援するとか、一時帰国を希望した場合に有給休暇を取得させるなど、一般に日本人社員には認められていない措置が法定されています。有体に言うと「逆差別」です。

l  実際に制度が始まると、この「逆差別」に関して、様々なトラブルが発生します。早々に「内国民待遇」の大原則(日本人と同等に扱えばよい)を打ち立てないと、手ひどい混乱を招くのではないでしょうか。

【Timely Report】Vol.371(2019.3.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  「特定技能」が解禁される4月が迫ってきました。地方からは、「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた外国人労働者が、東京の総菜屋やパン屋に行ってしまう」「外国人労働者が地方から賃金の高い大都市圏に流出してしまう」「雇って育てても、結局は東京に行ってしまう」「東京や大阪など大都市圏に集中し、人手不足がより深刻な地方に向かわない」「地方で就職しても1年と持たない」という「転職リスク」が懸念されています。

l  その一方、「転職支援リスク」は認識されていません。改正入管法は、「外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで、雇用契約を解除される場合において(転職しての就労)を行うことができるようにするための支援」(第2条の57項)を義務付け、省令で、転職に関する相談や苦情に適切に応じるとともに必要な措置を講ずることを求めており、支援の適正な履行を怠った場合、「特定技能」の外国人は5年間雇えなくなります。また、転職に関する相談に適切に応じなかった結果として行方不明になった場合には、1年間の雇い止めになり得ます。このリスクにも気を付けた方がよいでしょう。
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【Timely Report】Vol.356(2019.2.27)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:受入コストは誰が負担する?」も参考になります。


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