全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

タグ:日本語

l  介護分野の技能実習における日本語要件が緩和される模様です。介護は201711月に技能実習の対象に加わりましたが、➀入国時にN4の合格が必要で、②2年目に入る際にN3の合格が義務付けられていたため、人気が集まらず、昨年10月末時点の来日者数は247人に留まっていました。この状況に危機感を覚えた日本政府は、技能評価試験に合格した場合、➀日本語を継続的に学ぶ意思を表明し、②介護の習熟のために必要な日本語を学ぶ、という条件を満たせば、N3の合格を義務付けないことにしました。

l  「特定技能」がN4なのですから、臨機応変で実務的な対応だと評価してよいと思います。そもそも不足しているから呼び寄せるという現実対応の施策だったのですから、来日しないのでは全く意味がありません。

l  その点で再考すべきは、「特定活動(本邦大学卒業者)」におけるN1という日本語要件です。実務としては、N1でなくとも、N2保有者で現場経験が豊富であれば、間違いなく即戦力。人手不足の現場を本気で改善したいのであれば、介護で見せた臨機応変で実務的な対応が政府に求められるところです。

【Timely Report】Vol.375(2019.3.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ

l  日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は約34千人で、この10年で1.5倍に増えたといいます。日本語でコミュニケーションできなければ、日本で生活するのに不自由するのは当たり前なのですが、現時点において、「外国人に対する日本語教育」に関する法律はありません。

l  そこで、超党派の議員たちが、この国会で「日本語教育の推進に関する法律」を成立させようとしています。大変結構なことだとは思いますが、国がしっかりとやってくれるのかと思ったら、その第6条には、「外国人等を雇用する事業主は、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する日本語教育の推進に関する施策に協力するとともに、その雇用する外国人等及びその家族に対する日本語学習の機会の提供その他の日本語学習に関する支援に努めるものとする」と書かれています。要するに、「国は方針を決めるから、その費用とかは雇用企業が持ってくれ」という話。改正入管法でも、雇用企業は「生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」が義務付けられていますが、何でもかんでも企業に押し付ければよいと考えているようです。
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【Timely Report】Vol.355(2019.2.26)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:受入コストは誰が負担する?」も参考になります。


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l  298,980人の外国人留学生が、昨年5月時点で在籍していたことが分かりました。「留学生30万人計画」の達成は確実になりましたが、文部科学省からは、その後のビジョンが聞こえてきません。「偽装留学生」という批判が高まり、入管庁が管理強化に走る中で、「特定技能」が認められた手前、「留学生50万人計画」なんて掲げるべきではないという政策判断なのでしょう。

l  しかし、日本に求められているのは、実務的な解決策。国を挙げて、「日本語も話せない・日本の文化も知らない・日本に住んだこともない人たち」を、新しい在留資格である「特定技能」で大量に呼び寄せようとしていますが、「日本語はまあまあ話せる・日本の文化もある程度わかっている・日本に住んでいる人たち」である外国人留学生を活用するほうが格段に合理的です。

l  もっと言えば、新天皇の即位時に恩赦を実施し、軽いオーバーワークやオーバースティで収容されている外国人を放免して、一定期限までに在留資格を取得した場合、合法的な在留を認めるという施策もあり得ます。机上の空論で、日本に馴染みのない外国人を大量に招き入れるより得策なのでは・・・。
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【Timely Report】Vol.340(2019.2.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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l  日本に住む外国人の小中学生にあたる子ども(124,049人)のうち、21,701人(全体の17%)が不就学かもしれません。日本語指導が必要な小中高校の児童生徒は過去最多(2018年度・50,759人:うち外国籍40,485人)。日本語指導が必要な高校生の大学等への進学率は42.2%で、平均(71.1%)に遠く及ばず、中退率は9.6%(平均の7.4倍)にも達し、就職しても非正規である割合が40.0%(平均の9.3倍)であるという事実がわかりました。

l  外国人は、憲法が定める教育の義務や権利の対象外なので、保護者が子どもを小中学校に就学させる法的な義務がなく、子供がいる外国人家庭に就学案内を送っていない自治体も4割近くあります。国が自治体に丸投げし、自治体も予算不足で放置。そんな中、注目されているのが「夜間中学」。文部科学省は、都道府県に少なくとも1校は夜間中学を設置するよう促しています。

l  問題は「夜間中学」に興味を示さない外国人。就学機会を与えても猫に小判かもしれません。ドイツやロシアのように、在留条件に「言語・法律・歴史」の修得を義務付けることが必要になるのかも。

【Timely Report】Vol.557(2019.12.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「移民政策:ヘイトスピーチは沈静化する?」も参考になります。


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l  東京福祉大の一件が最後の一押しとなって、政府は「偽装留学生」退治に舵を切りました。「偽装留学生」を叩き続けてきたジャーナリストたちは溜飲を下げるでしょうが、それで、現状は改善されるのでしょうか。

l  人手不足の中で、無定見の「留学生30万人計画」を推進した結果、企業が留学生に目を付け、留学生もアルバイトに活路を見出す中、出稼ぎ留学生が急増。企業は人手を得て、留学生は生活費と学費を得るというウィンウィンの関係でした。無論、一部には、可哀そうな留学生もいましたが、その割合を客観的に検証することなく、「偽装留学生」叩きに転じたため、これからは、留学生アルバイトに依存してきた数多くの企業が悲鳴を上げ、留学生たちも生活に困り、ほとんどの学校は厳しい淘汰の渦に巻き込まれるでしょう。

l  政府は「特定技能で来ればいい」「特定技能で雇えばいい」と言うのでしょうが、「日本語ができて、日本の文化に慣れ親しんだ留学生」を追い出して、わざわざ「日本語がわからず、日本の文化も知らない外国人」を迎え入れようとする無理筋の政策は、別の大問題をいずれ発生させるに違いありません。

【Timely Report】Vol.551(2019.12.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:特定技能のために留学を切る!」も参考になります。


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l  624日、NHKが、ドキュメンタリー番組において、今治タオルの縫製工場で技能実習生たちが低賃金かつ劣悪な労働環境で働かされている様子を報じたところ、大反響となりました。番組終了後には、テレビに映り込んだ工場の建物をネットで特定する人が現れ、「森清タオル・オルネット」が問題の工場を運営しているとの誤った情報が広がり、誹謗中傷が殺到。NHKが否定コメントを出すという事態にまで発展しました。

l  NHKの番組制作者には、技能実習制度のヒドイ実態を世の中に伝え、世論を喚起し、制度改善につなげるという高邁な意図があったのでしょう。確かに技能実習制度には大きな問題があり、改善すべきであることは明らかです。

l  ところが、818日、そのNHKが、可哀そうな技能実習生に対して、受信料を集金に行ったところ、トラブルになったという事件が報じられました。集金人に対して、消火器を噴射した実習生に非があることは明らかですが、日本語が理解できない実習生に対して、「NHKを視聴しているはずだから、受信料を支払え」と自宅に押し掛けるというのはいかがなものでしょうか。

【Timely Report】Vol.524(2019.11.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  コンビニの外国人店員の拙い日本語が話のネタになっています。タレントの中居正広が冠番組で、「『お釣り千円で』って言ったら、『ずりせんですか? ちょっとすいません。店長さん、店長さん。ずりせん。ずりせん。なんですか?』って言ってた」と発言したことが「差別」とされ、話題になりました。

l  一方、ある芸人が、新宿のファミリーマートで、「特定のお客様から人種差別と言わざるを得ない発言がありました。今後このようなことがあれば、差別として強力に抗議いたします。またそのような方の来店は拒絶いたします」と書いた貼り紙をSNSにアップしたら、「バイトテロしてる日本人より頑張って仕事してる外国人を応援したい」「近くのコンビニで、外国人店員にいちいちイントネーションを指摘するおじさんがいる。本当に腹立つ」などと大反響。おそらく類似の事件が至る所で起きているのでしょう。

l  書店に行けば、ヘイト本が並び、ベストセラーにも外国人排斥を高らかに主張する書籍がランクインしています。入管法改正で受け入れる外国人は増えるのでしょうが、外国人を受け入れる心の準備はできているのでしょうか。

【Timely Report】Vol.385(2019.4.9号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

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l  5月下旬、「特定技能」に係る試験結果が続々と公表されました。外食業の技能試験では347人が合格(合格率75.4%)。宿泊業でも280人が合格し(同71.6%)、介護でも84人の合格者が出ました(同74.3%)。業界では、特定技能に特化したマッチングサイトを開設したり、日本語教育やトレーニングセンターに商機を見出すなど、一部で盛り上がりを見せています。

l  しかし、これらはすべて、外国人個人に対する必要条件に焦点を当てた試みにすぎません。じつは、「特定技能」は、従来の在留資格とは異なり、外国人個人の審査ではなく、受入企業のチェックに重きを置いた構造になっています。技能試験や日本語試験は、個人によほどの問題がない限りパスできますが、受入企業に課せられる条件やリスクやコストがやたらと重たいのです。現状のままで円滑なマッチングが実現するとは到底思えません。p34p38

l  昨年7月に始まった日系4世の受け入れ事業は、実態を無視した設計だったため、4000人の枠に対して来日4人の体たらく(昨年12月時点)。「特定技能」も、「大山鳴動して鼠一匹」という結末にならなければよいのですが・・・。

【Timely Report】Vol.445(2019.7.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

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l  327日、日本語能力試験の自分名義の認定証明書1枚を偽造したとして、有印公文書偽造の疑いで、ベトナム人が逮捕されました。本物の証明書は、国際交流基金と日本国際教育支援協会が発行するのですが、中国等で顔写真や名前が入った認定証明書1枚を偽造したようです。「特定技能」においては「N4」が必要ですし、「技能実習」の「介護」においても2年目に「N3」が求められます。また、日本語学校では、日本語試験の合格率で「留学」の枠が決められるようになりますから、今後、認定証明書の価値は高騰します。それに伴い、認定証明書の「偽造」は広がっていくでしょう。

l  昨秋、外務省が、日本の日本語学校への留学ビザを申請したベトナム人学生6000人を対面調査したところ、日本語能力が申請要件に満たない学生が1割超に上ったため、日本語能力の証明書を偽造した疑いが強いとして、申請を代行した12業者を半年間の受付停止処分にしました。今回は、中国から送られた郵便物に偽造が疑われる証明書があるということで、大阪税関で発覚しましたが、国内での証明書「偽造」も横行しています。要注意です。

【Timely Report】Vol.408(2019.5.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「取り調べの罠に気を付けましょう!」も参考になります。

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l  226日付の日本経済新聞の記事を読んで仰天しました。「労働条件、母国語で説明を 外国人雇用指針を改定」という見出しで、「賃金などの労働条件を示す際、母国語で説明するなど外国人の理解を促す」「健康診断などの際にも母国語で説明することを求めた」とあったからです。そんなことが義務付けられたら、ベトナム人を正社員として初めて雇う際に、通訳を手配しなければならず、コストと手間が馬鹿になりません。

l  疑問に思ったので、厚生労働省が公表した外国人雇用指針の改定案等を確認すると、「外国人労働者から求めがあった場合には、待遇の相違の内容や理由等について説明すること。その際、母国語又は平易な日本語を用いる等、外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努めること」「外国人労働者に対し健康診断の結果に基づく事後措置を実施するときは、健康診断の結果並びに事後措置の必要性及び内容を当該外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努めること」と書かれており、平易な日本語でもよいことが分かり安堵しました。正確な報道を心掛けてもらいたいと思います。

【Timely Report】Vol.364(2019.3.11)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  関係者が期待していた「特定活動」の素案がまとまりました。日本の大学や大学院を卒業した留学生の就職先を広げるための施策なのですが、接客業など日本語を主体的に使う業務について、「特定活動」を与える際に日本語能力試験で最もレベルが高い「N1」を条件にしたと聞き、実務経験豊富な「N2」以上で十分と考えている現場を無視した決定に呆れ果てました。

l  そのほか報じられた「在留資格の改革」は、中小企業に就職する外国人留学生の在留資格に関する手続を簡略化するといいながら、その対象を「国の補助事業などに参画し、審査を通過した中小企業」に狭めたり、「高度人材ポイント制」の加点対象を地方大の卒業者に広げるだけという「超限定バージョン」。「受け入れますよ」と言いながら、ハードルを思いっきり上げる入管のお得意芸です。この国は、「日本語も話せない・日本の文化も知らない・日本に住んだこともない人たち」を「特定技能」で大量に呼び寄せる一方で、「日本語はまあまあ話せる・日本の文化もある程度わかっている・日本に住んでいる人たち」を受け入れようとは考えていません。愚かなことです。
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【Timely Report】Vol.358(2019.3.1)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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