一般社団法人 全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

タグ:技能実習

1.       在留資格制度の行方を占う上で、破天荒な事態が進行しています。それは、国家戦略特区制度における外国人の農業就労です。特区内において、外国人の派遣労働による農業就労を認めるという内容なのですが、実施状況を確認しつつ全国展開も検討する、ということなので、かなり大胆な政策と言えます。国会答弁で当局は、対象外国人は「高度人材ではない」と認めていますから、素直に受け止めると、「単純労働の外国人は受け入れない」という大原則を転換したようにも見えます。さらに言うと、対象外国人は技能実習制度の修了者を想定しているので、「日本の技術を海外に移転する」という技能実習制度の建前を放棄したようにも感じられます。

2.       入管は、従来の枠組みと整合しないだけでなく、現実問題としても、農業分野での外国人の不法就労者が多いため、この制度の導入には消極的であったと言われており、各方面からの圧力で嫌々やることになったというのが本心でしょう。技能実習制度で、ただでさえ整合的でない部分が目立つ入管制度はさらに複雑骨折することになります。今後の動向には目が離せません

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【Timely Report】Vol.53(2017.11.20)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:共生は自治体に丸投げする?」も参考になります。


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l  技能実習制度については、201711月から技能実習適正化法が施行され、正常化が期待されていますが、実態を見ると、広島市の食堂運営会社に受け入れられたものの、手取りは雀の涙で、待遇の改善を求めた途端に帰国させられたり、片目を失明する労災に遭いながら、自主退職扱いにされて、十分に補償を受けられなかったり。パワハラやセクハラや賃金未払が横行しており、悲惨な事例が後を絶たず、毎年5000人以上が失踪しています。

l  実習先が外国人を受け入れる理由は、人材確保が約7割で、国際貢献は1割未満。「国際貢献」という建前と「人手確保」という本音との乖離は隠し切れません。実際、技能実習生の9割は、帰国後に日本の経験とは関係のない仕事をしています。そもそも、「日本で習得を目指す技能と同じ業務を母国で一定期間、経験していないといけない」という「前職要件」をクリアするための経歴詐称も跋扈しています。まさに「欺瞞」のオンパレード。国際的に「奴隷労働」と非難されている技能実習制度という「茶番」に幕を引き、「人口減」に真正面から取り組む局面が来ているのではないでしょうか。
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【Timely Report】Vol.69(2017.12.18)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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製造業派遣で資格外活動!!」も参考になります。

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l  技能実習生として働いた縫製会社を逃げ出したミャンマー人女性の家族が、母国の送り出し機関から失踪防止目的の違約金を支払うよう、損害賠償請求訴訟を起こされました。日本で逃げたら賠償金を科すという契約に違反して女性が逃げ出したので150万円(現地の平均年収の6倍)を支払え、というのです。当事者の女性は2015年に来日し、派遣先の縫製会社でミシン工として最長16時間/日働き、月給12万円を受け取っていましたが、腸の病気で手術した結果、残業ができなくなって帰国を迫られたため、逃げ出したようです。日本政府は、法律によって、こうした違約金契約を禁じていますが、まったく効果がないことが判明しました。ところが法務省入国管理局は、「日本政府が介入する問題ではない」として、現地の訴訟について知らぬ顔です。

l  カンボジアでは、逆に、技能実習生が「手数料を支払ったのに日本での仕事は無かった」として、送り出し機関を訴えています。虚偽の塊である技能実習制度は、「奴隷制度」もしくは「詐欺の一種」というべきでしょう。本当は撤廃して、実態に合った制度に改正した方が良いのですが・・・。
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【Timely Report】Vol.182(2018.1.18)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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製造業派遣で資格外活動!!」も参考になります。

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l  愛知県の青果卸会社が技能実習生の雇用において、偽装請負を行っていたという疑惑が報じられました。関連会社の農業生産法人に雇用されて、北海道の農家などで農作業に従事しているベトナム人技能実習生21人が解雇された問題から発覚。担当役員が、「(青果卸会社では)実習生に教えるような社員はいなかった」と本当に証言しているのであれば、「技能実習」という建前が崩れてしまうので、在留資格等不正取得罪に該当することになります。

l  かなりあからさまな入管法違反ですが、この手の違反は、大手企業でも横行しています。典型的なのは、今回発覚した偽装請負パターンと派遣パターン。大量の人数が捌けて巨額のビジネスになるので、この2種類が両横綱と言ってよいでしょう。そんなことは業界では常識で、入管も当然知っています。実際、有名なコンビニの弁当工場や総菜工場はそういう輩たちの巣窟です。

l  ところが、不思議なのは、そういう有名どころに限って、あまり摘発されていないという事実です。入管が大手企業と癒着しているとは思いませんが、圧力を掛けてくる政治家の方でもいるのでしょうか・・・。
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【Timely Report】Vol.343(2019.2.7)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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製造業派遣で資格外活動!!」も参考になります。

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l  三菱自動車が2016年以降、岡崎製作所で受け入れたフィリピン人技能実習生65人のうち33人を実習内容とは異なる仕事の現場で働かせていたことが明らかになりました。溶接技能の習得が目的であったのに、車体の組み立てや、実習計画より簡易な溶接を日常的にさせていたようです。提出した実習計画は完全な虚偽。法務省が厚生労働省と調査に入ることになりました。そして、三菱自動車と同じような虚偽事件が日産自動車でも発覚しました。

l  さらに、栃木県さくら市では、JAに所属する24軒の農家が、中国人技能実習生29人に対し、約1180万円の残業代を支払わなかったことが判明。入管は農家に対し実習生の新規受け入れ許可を取り消しました。

l  技能実習の現場は、あまりにも杜撰で悲惨で欺瞞です。新設する「特定技能」が、単なる「技能実習」の延長線上の在留資格になったとしたらゾッとします。「技能実習」の延長で行くのか、それとも、一定の「技能」を充たせば在留資格を与えるという色彩を濃くするのか・・・。それによって、わが国の入管政策は大きく変わり得ます。果たしてどういう決着を見るのでしょうか。
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【Timely Report】Vol.179(2018.6.11)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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l  125日、法務省と厚生労働省は、三菱自動車やパナソニックなど4社の技能実習計画の認定を取り消しました。4社は5年間、技能実習のほか、4月導入の在留資格「特定技能」で新たな受け入れができなくなる見込みです。

l  27人分の取り消しを受けた三菱自動車の場合、岡崎市の工場で実習生に計画に記載した半自動溶接作業ではなく、部品の組み立て作業という明らかな「資格外活動」をさせていました。「現場担当者の認識違い」と説明していましたが、そもそも全員分の溶接作業を行える設備がなかったことが判明。同様の不適正な受け入れを約10年間にわたって続けていたとも言います。

l  この違反行為は、入国管理法上、不法就労助長罪もしくは在留資格等不正取得罪に相当します。それなのに、5年間の雇止めだけでお咎めなし。同じ規模で、アルバイトの週28時間超や「技術・人文知識・国際業務」における資格外活動が発覚したら、逮捕されて懲役まであるのに、「技能実習」だと雇止めで反省して終わりというのはズルい。だったら、アルバイトや正社員の「資格外活動」についても三菱自動車並みの緩い基準を適用すべきです。
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【Timely Report】Vol.337(2019.1.30)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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l  技能実習が「先進国・日本の優れた技術をアジアの若者に伝える国際貢献」であるという建前を本気で信じている人は誰もいません。そんな中、2017年における技能実習生の失踪は、過去最高の7,089人となりました。ある中国人実習生は、「逃亡する実習生はみんな知っていることですが、茨城は在日中国人の詐欺師だらけです。知人の紹介以外は慎重になったほうがいいです。茨城で騙されたり逮捕されたりは、ほんと多くて悲惨です」と証言しています。つまり、「在日中国人が中国人を陥れる」構造があるというのです。

l  「技能実習生は日本語ができず、警察に駆け込むこともできないため、詐欺のターゲットにされやすい。逃亡実習生の場合はなおさらだ。在日中国人から『携帯電話の契約を手伝ってやる』と言われ、契約を代行してもらった後にスマホを持ち去られ転売される。クレジットカードの作成の『代行』を頼んだ中国人にカードを使いまくられたり、銀行口座開設を頼んだら架空口座として売り飛ばされる例もある。紹介料を騙し取られたりとんでもない職場に送り込まれることもある」という現状を改善しなくて良いのでしょうか。
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【Timely Report】Vol.152(2018.5.1)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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l  8月下旬、菅義偉官房長官は、「外国人材がいなければ日本経済は回らないのが現実だ」と指摘し、「日本語を習得し、日本の良き理解者になった留学生が就職できずに失意の思いで国に帰る。そうしたことは避けるべきだ」と述べました。さらに、「卒業した留学生が日本に残って就職するのは36%にとどまっている。希望者の大部分が日本で働ける制度をつくるため、業種の幅をさらに広げるような在留資格をつくりたい」と語りました。

l  全国外国人雇用協会は、当面の活動方針として、「労働基準法が定める均等待遇を実現すべく、日本もしくは海外の大学を卒業した外国人に関して、日本人大卒が就労可能な業務に関し、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格該当性を求めていく」ことと、「日常会話に不自由がなく日本の文化に慣れ親しんだ留学生に関して、『技術・人文知識・国際業務』への在留資格変更を広く許可すべきである。特に現場実習の実施に関しては、日本人と同等の扱いを認めるべきである」の2点を掲げています。当協会の方針に合致する極めて正しい方向性を打ち出した菅長官の辣腕に期待したいと思います。
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【Timely Report】Vol.239(2018.9.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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1.       入国管理法を学び、技能実習の実態を知れば、この制度が筋悪であるということは誰でもわかります。だから、良心ある人たちは、「人材不足を補うためのものではない」と嘘をつき、コンビニの店舗運営を技能実習の対象とすることに反対します。ある弁護士は、「技能実習制度には根本的な欠陥があり、多くの人権侵害事件を引き起こしている」と非難し、「コンビニ店舗運営の社員教育のためなら企業内転勤や研修の制度を使うべきだし、留学生のアルバイトを卒業後に雇用するという方法もある」と指摘しています。

2.       ところが、各政党の公約を見ると、「技能実習生による安易な受け入れ拡大に反対し、制度の廃止を含めた根本からの見直しを求めます」という正論を吐いているのは日本共産党だけでした。他党は、技能実習生が多く働いている産業における担い手不足の解消を声高に主張しましたが、技能実習制度には一言も触れていません。厚顔無恥にシラを切って拡大し続けたなら、真っ黒な技能実習制度が白く変わるとでも思っているのでしょうか。「黒転白」は、中国人の悪弊ではなく、日本人の悪弊なのかもしれません。
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【Timely Report】Vol.46(2017.11.1)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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1.       JAおきなわが農業技能実習生27人を受け入れたり、愛媛県森林組合連が実習生を5人招聘するなど、日本の少なからぬ産業や日本人の豊かな生活が、外国人技能実習生によって支えられているという事実は否定しようがありません。その一方、岐阜や愛知の縫製業者が実習生に対して最低賃金を大きく下回る賃金しか支払わなかったり、職場から大量失踪したり、技能実習生を使っていることが理由で2020年の東京オリンピックで日本の農産物が料理に使えないという深刻な問題が発生しています。

2.       この背景には、入管と関係が深いJITCO(国際研修協力機構)がピンハネしているため、技能実習生に皺寄せが行くという事情があるのですが、あまり報道されていません。上記のような深刻な問題が発生していることを思えば、阿漕なピンハネをしない企業が、日本人と同等以上の給与を支払って外国人材を雇う場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を認めてよいように感じます。そういう企業で働く外国人は、技能実習生より「高度人材」であり、技能実習の現場より「高度な業務」を担っているのですから・・・。
ます。
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【Timely Report】Vol.34(2017.10.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。

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l  政府は、最長5年間の「技能実習」を修了した外国人に、さらに最長5年間就労できる「特定技能」という在留資格を与える方針です。技能実習生は、「特定技能」と合わせて、最長10年間働き続けられることになります。

l  技能実習制度は、既得権益と化しており、麻生財務相を含んだ数多くの政治家がその利権に預かっています。ですから、技能実習制度を否定することが難しいことは分かりますが、技能実習制度が「インチキの塊」だというのは周知の事実。虚飾の上に虚飾を重ねても、捏造の上に捏造を加えても、筋の悪い制度が良い制度に変わることはありません。「ダメなものはダメ」と観念して根本的に改革しなければ、事態は改善されないのです。

l  しかし、日本政府が得意なのは、「嘘でも言い張り続ければよい」という小手先の技。不良債権問題がそうでしたし、「いずれ故郷に帰れる」という大前提の下での原発復興も、「100年安心」という年金問題も、軍隊でないと言い張った自衛隊も同じです。日本では、「森友問題」における佐川元理財局長の国会答弁と同様のことがもっと大きな次元で常態化しているのです。
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【Timely Report】Vol.141(2018.4.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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l  ベトナム人の技能実習生が、原発の除染作業に携わっている実例が続々発覚しています。ベトナムには原発自体が存在しておらず、「日本の技術を移転する」という大義名分が全く当てはまらない業務です。政府は、「除染作業は技能実習の趣旨にそぐわない」とする見解を公表しており、発注元の東電も「技能実習は日本で勉強して自分の国に帰って広めていくという取り組みなので、我々なりの制限を入れて労働環境を守りたい」と説明していました。

l  技能実習制度は「嘘の塊」ですから、この程度では驚きませんが、その上に搾取するのですから最低最悪です。原発事故による帰還困難区域での建物解体工事に従事した技能実習生には1日あたり6600円の危険手当が支払われるはずなのに、1日あたり5000円近くピンハネされ、累計で160万円も搾取されていました。しかも、賃金台帳が改竄されていたというのです。

l  「利権の塊」でもある技能実習制度をいつまで温存し続けるつもりなのかは知りませんが、そろそろ正気に戻って真っ当に改革しないと、入管行政自体の信頼性を喪失することになりかねません。
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【Timely Report】Vol.172(2018.5.31)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!」も参考になります。

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l  国会における改正入管法の議論では、「技能実習」の闇が露見しました。低賃金・賃金不払・労災・失踪という諸問題が解決されず、「特定技能も技能実習生の二の舞いになる」と懸念する声が聞かれます。実際、建設業では、「特定技能」の先駆けともいえる「技能実習」の延長が認められていますが、4割の企業で未払賃金等の問題が発覚しました。国際貢献や技術移転を目的とする「技能実習」では「建前」が崩壊し、法令違反の塊となっています。

l  「実習制度で移動の自由がないからここにいてくれる。もし日本のどこでも働いていいんなら、島なんかに来てくれない」「時給1000円にしたら経営が成り立たない」―― 技能実習生の失踪が相次ぐ沖永良部島では、技能実習の「建前」そのものを批判する声も。「特定技能」では、建前と実態の乖離を縮小する効果が期待されていますが、果たしてうまく機能するでしょうか。

l  実態を無視したキレイごとで政策を展開しても効果は知れています。昨年末に開示された「特定技能」に関する省令は、「概要」を示しただけで、詳細は疑問点だらけ。現実を直視した立法と行政が求められています。
テレビチャンネル, チャネル, シャネル, テレビ
【Timely Report】Vol.325(2019.1.11)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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1.       いまから10年以上前の2006年に公表された「今後の外国人の受入れに関する基本的な考え方」(通称、「河野私案」。)を知っている方はいらっしゃるでしょうか。「河野私案」は、来たる人口減衰を踏まえた上で、あるべき入国管理制度を真正面から検討した意欲溢れる報告書でした。法務副大臣としてプロジェクトチームを立ち上げ、各方面からのパブリックコメントを踏まえた上で策定された「河野私案」は、いま読み返してみても色褪せることなく、現在の入管行政の問題点を的確に指摘しているように思えます。

2.       しかしながら、あらゆる「改革」がそうであるように、「河野私案」も、官僚たちの抵抗を受けました。法務官僚たちは、「河野私案」を棚上げした上で、自分たちに都合の良い部分だけ摘み食いするという得意技に走り、結局のところ、この10年間、入管行政は、肝心要の大きな論点については素通りし、重要な大枠の変更については手を着けず、「国際研修協力機構」に代表される天下り先の擁護に走り、問題が表面化したら民間に責任転嫁して、「外国人技能実習機構」という新たな既得権益を獲得するに至りました。

3.       入管の大本営発表を垂れ流すだけのマスコミを含めて、世の中的にはあまり知られていませんが、「技能実習」という制度は、白々しいほど明々白々な法律違反を白昼堂々と行っている稀有な公的制度です。ここまであからさまな法令違反は、「自衛隊(軍隊ではない)」と「パチンコの景品交換(博打ではない)」を除くと、ほとんどないと断言してよいでしょう。

4.       具体的に見てみましょう。「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」は、「技能実習」という在留資格によって許可される「活動」について、「申請人が修得しようとする技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと」と「申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること」を要件としています。要するに、同一の作業の反復で修得できる「単純作業」は絶対許されないし、中国やベトナムで営まれている業務はできないと明確に書いてあるわけです。

5.       ところが、その対象として認められている業種は、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、家具製作、印刷、製本、プラスチック成型、塗装、溶接、工業包装、紙器・段ボール箱製造、陶磁器工業製品製造、自動車整備、ビルクリーニング。技能試験などを捏造して、一応「技能修得」の形式は整えていますが、実態は「単純作業」そのものであり、中国やベトナムでも修得できる「技能」ばかり。法務省入国在留課長や東京入国管理局長などを歴任した坂中英徳氏は、著書『人口崩壊と移民革命』の中で、「もともと本音(単純労働者の受け入れ)を建て前(国際技術協力)で覆って作られた制度である」と喝破し、「まやかしの制度」と断言しているほどです。

6.       こうした入管制度の欺瞞は、世界中に知られています。20147月、国連の自由権規約委員会が「技能実習は『人身取引の一形態』である」と公然と批判しましたし、2020年のオリンピックでは、選手村で日本の野菜が使えないという問題に直面しています。じつは、2012年のロンドン大会から『競技者のため、おいしく、健康的で環境に優しい大会』というビジョンが打ち出され、選手村や報道センターで提供する食品に認証基準(GAPGood Agricultural Practice)が導入され、日本大会でもGAPの認証取得が求められることになっており、①食品の安全性、②環境の保全、③労働安全の確保が求められています。このGAPの③においては、過重労働などを防ぐためのチェック項目が定められており、「過重な労働を低賃金で強制している」という批判が強い技能実習生が係わった野菜は、東京五輪で使えないのです。

7.       もし10年前に、法務官僚たちが、「河野私案」を真剣に受け止め、自分たちの天下り先の確保という小さな省益を振り払って、技能実習制度の抜本的な改革を行い、「特定技能労働者」の導入や、日本企業における就労の実情に見合った「技術・人文知識・国際業務」の適用を実現していたならば、自国で開催するオリンピックにおいて、自国の野菜が使えないなどという極めて恥ずかしい思いをすることはなかったに違いありません。

8.       「河野私案」が的確に指摘しているように、現在の入管行政において、多くの問題点が生じていることは紛れもない事実です。しかし、入管官僚たちは、自分たちの怠慢や誤った行政を棚に上げて、雇用主の責任にすべてを転嫁してきました。今回の「技能実習制度」の改正などはその典型です。そもそもは、嘘を嘘で塗り固めた制度設計自体の問題が表面化しているだけなのに、すべての責任を雇用者側に押し付けて、自分たちは「悪い雇用者」を懲らしめる正義の味方を演じながら、「国際研修協力機構」という天下り先だけに満足せずに、「外国人技能実習機構」という新たな天下り先を設立するという見事な立ち回りを見せています。

9.       20177月の有効求人倍率は1.52倍と、435カ月ぶりの高水準。完全失業率も2.8%と3.0%を下回って推移しており、ほぼ「完全雇用状態」となっています。雇おうと思っても良い人が雇えず、雇ってみたら雇ってみたで「ブラック企業」と誹謗中傷され、ブラック社員と労働基準監督署と悪徳弁護士からの虐めに怯えるという「雇用地獄」が待っています。日本政府は、雇われる労働者の権利ばかりを重視して、雇う経営者の苦労や苦悩や悩みには無関心。そんな真っ暗闇の中で唯一の光明に見えた外国人雇用に対しても、入管から嫌がらせをされている経営者に同情してくれる有識者はいません。

10.   在留資格申請の現場では、入国・在留審査マニュアルに書かれていない事項で嫌がらせをされたり、同じ事柄について入国審査官によって判断が大きく異なったり、申請案件が長期間放置されてしまうなど、通常の行政では考えられない杜撰なオペレーションがまかり通っています。外国人観光客が急増する中、少なからぬ入国審査官が空港や港湾などの現場に駆り出されるだけでなく、200万人を超えて増える一方の在日外国人を抱えて、業務量が半端なく多いということについては大いに同情できるところですが、在留資格の許可・不許可は、申請者にとって人生に係る一大事。恣意的な審査結果によって、日本滞在を望む留学生たちを母国に帰国させ、日本に対して悪感情を抱かせることは、日本の国益から見ても決して得策とは思われません。

11.   20165月、「河野私案」から遅れること10年、自由民主党政務調査会の「労働力確保に関する特命委員会」は、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受け入れの基本的考え方」をとりまとめて、「河野私案」の骨格の一部を採用した案を日本政府に提出しました。しかし、具体的な動きにつながっているようには見えません。巷では「人手不足倒産」や「人手不足休業」が散見され、人手が足りずにフル稼働できない工場や店舗が増えています。この10年が、本当に「失われた10年」であったことを痛感する今日この頃です。

12.   「河野私案」は、「本音と建前の乖離が,外国人の受入れ体制を不備あるいは不十分なものとし,受け入れられた外国人,受け入れられた外国人を隣人として迎えることとなる地域社会の双方にとって不幸な結果をもたらしている」と断じ、改革なかりせば「失われた10年」になることを明解に予言していました。じつは、全国外国人雇用協会では、20171216日に、河野太郎衆議院議員を招聘して、「わが国入管行政のあるべき姿」をご講演いただくお約束を取り付けておりましたが、図らずも、第三次安倍第三次改造内閣において外務大臣の激務を担当されることとなり、緊迫した北朝鮮の脅威がある中、「約束を果たすことが難しい」というご連絡を先日いただきました。極めて残念なことでございますが、「次回は必ず」という河野大臣のお言葉を信じ、今回のTimely Reportに「河野私案」などの情報を掲載することで、講演会における談話に代えさせていただきます。
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【Timely Report】Vol.15(2017.9.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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「特定技能」は、天国か、地獄か?」も参考になります。

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1.       偽装難民のミャンマー人にホテルの清掃をさせていた会社の経営者が逮捕されました。じつは、4月下旬に家宅捜索が入った瞬間に、雇われていた約60人のミャンマー人は、あっという間に連絡が取れなくなったといいます。このため同社は、業務に大変な支障をきたし、大事な取引先を失いました。その上に逮捕されたのですから、泣きっ面に蜂。ただ、気を付けるべきは、難民申請者に頼っていたために、逮捕される前の時点でビジネスが回らなくなっていたということ。難民申請者を雇うのは本当にリスキーです。

2.       大分県の自動車部品工場に、不法就労者を派遣していたとして、神奈川県の派遣会社の社長と案件担当が逮捕されました。在留カードをチェックすれば、誰でもわかるオーバースティなのに、派遣先の部品工場は、「在留資格などは原則として確認しているが、どうしてこのような事態になったか分からない」と明らかな嘘を言い放っています。派遣会社に責任を全部転嫁したいという気持ちはわかりますが、一つ間違うと派遣業者と一緒に逮捕されてしまうケース。在留カードは、必ず自ら確認するようにしましょう。
税金, 脱税, 警察, 手錠, 詐欺, 租税コンサルタント, 金融, お金
【Timely Report】Vol.4(2017.6.16)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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私は『知らなかった』は有罪です!」も参考になります。

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1.       今年1月に施行された入国管理法が適用されたことによる逮捕者が、全国で初めて出ました。中国人の在留資格を継続させるため、自分の事務所で働いているなどと嘘の申請をしたとして、元警察関係者の行政書士が逮捕されたのです。今年2月、依頼された中国人の在留資格を継続するため、自身の事務所で通訳などの仕事をしているなどと嘘の申請書を東京入国管理局に提出したようです。今後、この手の摘発が増えることに留意すべきです。行政書士は、入国管理法に詳しい専門家に依頼することをお勧めします。

2.       「偽装難民」に対する入国管理局の堪忍袋の緒がついに切れました。技能実習生や留学生が、難民申請をした後に就労を禁じるため、在留期限後速やかに入管施設に強制収容する措置を7月にも導入するというのです。以前より、何度も警告しておりますが、経営者にとって、「技能実習」と「難民」は、「君子危うきに近寄らず」です。これで、入国管理法違反のゴールデンルートである「技能実習」➡「失踪」➡「難民申請」➡「不法就労」➡「不法在留」の道は相当叩かれそうです。
手錠, トラブル, 警察, 逮捕, 犯人, 警察の使用法, セキュリティ, 犯罪
【Timely Report】Vol.5(2017.7.5)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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私は『知らなかった』は有罪です!」も参考になります。

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1.       日本フランチャイズチェーン協会が、「外国人技能実習制度」の対象職種にコンビニの店舗運営を加えるよう厚生労働省に申請するようです。申請に際して、協会は、「人手不足が理由ではありません。コンビニは24時間365日稼働しており、特定の曜日や時間帯しか働けない人でもシフトに入りやすくなっています。業務内容はマニュアル化されて単純になっているため、誰でもすぐに慣れることができます」と真っ赤な嘘をつきました。

2.       「技能実習」については、販売職でも動きがあります。人手不足に焦る気持ちは分かりますが、極めて筋が悪い戦略です。正々堂々と「分厚いマニュアルをマスターするのは大変なんだ!」と入管を説得し、「技術・人文知識・国際業務」を勝ち取った企業の努力を無にする悪手でもあります。

3.       この点、際立っているのが、外国人従業員100人を目指す日の丸交通。乗務員だけでは単純労働とみなされるため、観光業務に従事する高度人材として、「国際業務」という在留資格を取得させた上で、乗務以外の部門への配置も検討するといいます。参考にするのであれば、断然こちらです。
建物, 暗い, 泊, 利便性, ストア, ショップ
【Timely Report】Vol.30(2017.9.22)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。

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l  北海道士別市の「しずお農場」では、経営者自らベトナムに赴き、実習生候補の面接を行ないました。その結果、給料のピンハネや斡旋料を取られないからということで3人の募集に150人が殺到し、優秀な若者を採用できたと言います。さらに、日本語検定合格による昇給制度を導入して、日本語能力を磨かせるだけでなく、賃金を日本人並みの20万円に設定しました。ある評論家は、これを「ドイツ式」として称賛し、「しずお農場」で働く実習生は単なる労働力ではなく、企業の発展に欠かせない重要な戦力になっており、この大成功を他企業も真似したほうがよいと推奨しています。

l  その評論家は、「待遇は日本人と同じ条件で、日本語教育を充実させる。こういった施策の上で、永住権の取得条件を緩和する」と説くのですが、そういう想いであれば、わざわざベトナムに行って、帰国条件が付く技能実習生を採用するより、すでに日本にいる留学生を「技術・人文知識・国際業務」で雇えばよいだけ。「技術・人文知識・国際業務」に関して、時に偏狭な判断に傾く入管審査を正常化させるだけで、「しずお農場」が全国に誕生します。
アップル, 果樹園, リンゴの木, 赤, 緑, はしご, 収穫, 自然
【Timely Report】Vol.123(2018.3.19)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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「技能実習」は法令違反だ!」も参考になります。

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l  ハノイ郊外の農家を父に持つあるベトナム人女性は、送り出し会社で1年ほど日本語を勉強した後、来日しました。約130万円かかった費用は、両親が銀行や親戚から借金をして工面しましたが、家賃を引かれても月約9万円が手取りとして残る計算で、3年間働けば貯金ができる見込みでした。日本では、学校や企業の食堂を運営する会社に雇われて、学校の食堂などで働きましたが、仕事がない時が多く、給料は時給制で、寮費を引かれると手取りが15,000円の月も。日々の食費にも困り、父親から計20万円を仕送りしてもらったといいます。父親は、「日本に行ったら、稼いでお金を送ってくれるのかと思ったら、まさかこっちが仕送りすることになるとは」と呆れ顔。

l  「日本の建設会社で働いたら母国の5倍稼げて、しかも日本語も学べる」と言われて日本に来てみたら、じつは、放射能の除染作業だったという話まであります。雇用主から脅されて扱き使われ、言うことを聞かないと強制帰国させられる技能実習生たち。抜本的に「正々堂々と外国人を雇用する」という在留資格制度に改革しないとダメなのではないでしょうか。
女, 米, グリーン, 田舎, 国, 自由, ジョイ, アーム, 明るい
【Timely Report】Vol.132(2018.4.2)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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技能実習の膨張が歪みを生む!!」も参考になります。

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l  海外居住者に関する在留資格の認定申請について、「短期滞在」と「永住者」だけを対象外としている入国管理法の建て付けから言えば、「特定技能」についても「可」とするしかないと見られていましたが、日本政府が、アジアを中心とした8カ国で日本語試験を実施するほか、「農業」の特定技能試験(1号)について、ベトナム・中国など海外7カ国で実施するなど、例外扱いではなく、「認定申請可」であることが確認されました。

l  じつは、これ、「技能実習」関係者にとって、かなりのダメージです。「技能実習」の卒業先として、「特定技能」が新設されたと思ったら、「特定技能」が「技能実習」のライバルに。出稼ぎ目的の外国人からすれば、転職の自由がなく労働環境が劣悪な「技能実習」よりは、転職の自由があり日本人と同等の賃金が確保される可能性が高い「特定技能」のほうが魅力的です。

l  しかも、日本政府は「悪質なブローカーの排除」を明言していますから、これまでのような借金塗れになる危険性も減るでしょう。逆に言えば、「技能実習」の既得権益は大きく毀損されます。新しい権益の争奪戦が始まります。
空港, トランスポート, 女性, 女の子, 観光, 旅行, フライト, 人

【Timely Report】Vol.313(2018.12.19)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:受入コストは誰が負担する?」も参考になります。


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