全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

タグ:外食

l  鳴り物入りで導入された「特定技能」が遅々とした動きではありますが、徐々に進み始めました。各国との二ヵ国協定の締結も進捗し、外食分野や宿泊分野、自動車整備分野における許可など、業種にも広がりが見えてきました。

l  しかし、関係者にとって悩ましいのは「転職」。転職禁止の「技能実習」とは異なり、「特定技能」の場合、日本での就労が認められている業種の枠内であれば転職が自由です。特に地方では、「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が、特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏に行ってしまう」などの不安を抱く経営者が少なくありません。

l  実際は、転職の際に入管による在留資格変更許可が必要なので、簡便に転職できるわけではありませんが、転職先に入社するまでの間、「転職支援」がどこまで求められるか不明という問題もあります。そういうこともあり、「特定技能」の雇用が可能な企業に聞いても、「特定技能は検討していない」(45.2%)と「よく知らない」(18.4%)を合わせた消極派が3社に2社(計63.6%)。「特定技能」が「技能実習」を凌駕する日はまだまだ遠そうです。

【Timely Report】Vol.547(2019.12.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。


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l  530日、「N1ビザ(特定活動)」の告示が公布されました。新聞各紙は、「留学生の就職、宿泊・外食でも」「飲食業も可能に」「専門外の接客業OKに」など入管の振り付けのまま記事を書いています。「技術・人文知識・国際業務」でも許可されてきたのに、「これまでは宿泊や外食や小売では許可されなかった」という書き振りです。しかも、このビザで「数千人」が就労するという大本営発表を垂れ流す体たらく。N1の合格率は約30%ですから希望者が2万人いれば数千人になるはずという理屈ですが、「技術・人文知識・国際業務」を選ぶN1合格者もいるでしょうし、就労希望者(≠N1受験者)の合格率は10%に満たないので、大幅未達に終わることは必至です。

l  にもかかわらず、入管が受入人数を嵩上げするのは、「外国人を大勢受け入れるので、これ以上、在留資格を緩和する必要はありません」というアピールをしたいから。4000人の枠に対して4人しか来日しなかった「日系4世」が典型例。すでに「留学ビザ」は大幅に厳格化されました。大幅緩和をアピールする裏側で、入管審査の厳格化が秘かに進行しています。

【Timely Report】Vol.449(2019.7.17)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  5月下旬、「特定技能」に係る試験結果が続々と公表されました。外食業の技能試験では347人が合格(合格率75.4%)。宿泊業でも280人が合格し(同71.6%)、介護でも84人の合格者が出ました(同74.3%)。業界では、特定技能に特化したマッチングサイトを開設したり、日本語教育やトレーニングセンターに商機を見出すなど、一部で盛り上がりを見せています。

l  しかし、これらはすべて、外国人個人に対する必要条件に焦点を当てた試みにすぎません。じつは、「特定技能」は、従来の在留資格とは異なり、外国人個人の審査ではなく、受入企業のチェックに重きを置いた構造になっています。技能試験や日本語試験は、個人によほどの問題がない限りパスできますが、受入企業に課せられる条件やリスクやコストがやたらと重たいのです。現状のままで円滑なマッチングが実現するとは到底思えません。p34p38

l  昨年7月に始まった日系4世の受け入れ事業は、実態を無視した設計だったため、4000人の枠に対して来日4人の体たらく(昨年12月時点)。「特定技能」も、「大山鳴動して鼠一匹」という結末にならなければよいのですが・・・。

【Timely Report】Vol.445(2019.7.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管法は移民を受容しない!」も参考になります。

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l  日本政府は、外国人技能実習制度の「宿泊業」について、現在は1年しか認められていない技能実習を2年目以降もできるように制度を改正することを決めました。この措置により、「宿泊業」で約3年の実習を経験すれば、新たな在留資格「特定技能」に無試験で移行することが可能になります。

l  じつは、北大阪高等職業技術専門校は、3年間在留する技能実習生に義務づけられる「3級」の検定試験(フライス盤を使った金属部品の加工技術)の対策講座を開講しています(計12時間の2日間コース)。つまり、表向きは「習得に3年かかる」と謳っている「技能」は、たった2日間でマスターできる代物にすぎません。「宿泊業」の「3年」も同じ類でしょう。

l  宿泊業界は、外国人を「特定技能」で直接集める道筋ではなく、「技能実習」の立て付けの中で、将来「特定技能」で受け入れる外国人を取り込む戦略を選びました。この事実は、「特定技能」という在留資格が、「技能実習」に取り込まれてしまったことを意味します。いずれ「外食業」もそうなるかもしれません。「技能実習」は、今後もしぶとく生き残っていくことになります。

【Timely Report】Vol.445(2019.7.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:大山鳴動して鼠一匹なのか?」も参考になります。

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l  入国管理法の表面しか眺めていない論者は、「特定技能」に、「外食」が入り、「コンビニ」が外れたことをもって、「外食の勝ち・コンビニの負け」という短絡的な記事を書いていますが、入管行政の現場はもう少し複雑です。

l  外食業界を所管する農林水産省は、「受け入れるのは店長・チーフレベルの人材」と宣って、ハードルを上げているらしく、外食業の業界団体「日本フードサービス協会」はそれに盲従して、愚かにも「アルバイトのような存在ではなく、一定レベル以上の人材を集めていく」などと公言し、「店長レベルの能力を持つ人材を求めていく方針」と報じられています。

l  外食業界は自殺する気でしょうか。「店長業務」ならば、本来「技術・人文知識・国際業務」でカバーできる領域であり、かつては店長候補やアルバイト管理で「人文知識」や「国際業務」の許可が出ていました。しかし、最近は、上記の議論の煽りを受けて許可が難しくなっています。「特定技能=店長業務」になれば、まずます「技術・人文知識・国際業務」では許可が出ません。今からでも遅くないので、「特定技能」から脱退したほうがよいと思います。
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【Timely Report】Vol.297(2018.11.27)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
野党は『特定技能』に反対?」も参考になります。


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