全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

タグ:入国管理センター

l  6月に大村入国管理センターで長期収容中のナイジェリア人男性が餓死してから、各地の入管収容施設でハンストが拡大。ハンストで衰弱した収容者に対しては、仮放免した場合、2週間後に再収容するという運用が為されているため、それがさらに関係者の怒りを呼んでおり、与野党の国会議員への陳情も行われています。しかし、陳情内容は、「かわいそうだから仮釈放すべき」という心情的な訴えが多く、「予防拘禁(再犯の恐れを理由に拘禁すること)は人権侵害だ」という法理論による武装も「全員釈放すべき」という結論になりますから、入管として受け入れられる提案ではありません。

l  入管の運用を本気で変えたいのなら、受け入れられるギリギリの提案をすべきです。入管法以外に重い法令違反を犯していない収容者(オーバーワークや短期間のオーバーステイ等)は仮放免すべきという案なら入管も検討可能でしょう。あるいは韓国のように、超過滞在期間に応じた罰則金を支払えばよいという割り切りでもよいかもしれません。入管法にも仮放免の際に保証金を預託させる制度があるのですぐに対応可能です。

【Timely Report】Vol.593(2020.2.18号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:収容問題はフェアに報道すべき!」も参考になります。


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l  20191224日、東日本入国管理センターは、収容者への投薬や物品貸出に関し嘘の記録を書いたとして、男性職員4人を停職1カ月の懲戒処分にしました。一定時間以上の間隔を空けて服用する胃薬を間隔を空けずに投薬した事実を隠すために嘘の時間を記入したり、毛抜きを収容者に貸し出した際、回収せずに「回収済」と記載したり、回収していない事実を隠蔽するために「貸出中」と偽装したようです。職員4人は検察に告発されましたが、不起訴処分になりました。名古屋入管でも、類似の事件が発覚しています。

l  大した「虚偽」ではないので、目くじらを立てるほどのことではないのですが、正直に書いた場合「後日、行政文書の公開請求で人権派に指摘されると面倒くさい」と思ったのでしょう。逆に言えば、それくらい入管職員にとって、収容が負担になっていることを示しているのだと思います。

l  オーバーワークやオーバースティだけで外国人を長期収容し続けることは、収容自体のコストや今回の件で表面化したリスクに見合いません。軽微な入管法違反の収容者については仮放免することを前向きに考えるべきです。

【Timely Report】Vol.618(2020.3.25号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「入管行政:元入国審査官が証言する?」も参考になります。
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l  長期収容に対する批判が絶えません。施設への収容者1433人のうち約半数(713人)が半年以上の長期収容者になっており(2018年)、抗議のハンストが広がっています。大村入国管理センターでは、ハンストで抗議していたナイジェリア人男性が死亡しました。「強制送還の日程が決まっていない被収容者の長期収容は、国家による犯罪だ」と主張している弁護士もいます。

l  しかし、入管を糾弾する人々の多くは「入管が悪い」と声を荒げるだけで、具体的な解決策を示しません。強いて言えば、「在留特別許可を広く認めるべき」とお願いしているだけ。これでは、入管も対応しようがありません。違法薬物の密売や飲酒運転で死亡事故を起こして収容されている外国人もいます。実際、昨年末には2501人(うちイラン人230人)が仮放免されているのですが、昨年中に108人(同23人)もの外国人が仮放免中に逮捕されたという現実もあります。収容しておくべき外国人がいるのは事実です。

l  入管は、「法令に従って適正に対応している」と主張しているのですから、入管を罵るのではなく、法令に関する改正案を示すべきです。

【Timely Report】Vol.544(2019.12.3号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:日本版DACAを導入する?」も参考になります。


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l  6月24日、大村入国管理センターで、収容中の40代ナイジェリア人男性が死亡しました。長期収容に抗議し、ハンガーストライキをしていた男性は、自室で倒れているところを発見され、病院に搬送されましたが、亡くなったのです。しかし、入管は、原因を究明して、是正策を講じようとしません。それで8月8日、日本弁護士連合会は、第三者機関による調査を実施し、再発防止策を講じるよう求める声明を発表しました。

l  入管は、徹底的な秘密主義です。昨秋の入管法改正の国会審議において、法務省の開示資料に瑕疵があったために、実習生に対する聴取票2900枚を開示することになりました。ところが、その聴取票のコピーを認めず、野党議員が手で書き写すという喜劇がありました。毎日新聞がその公文書を情報公開請求したところ、内容が全部真っ黒に塗られた文書の山が届いたといいます。さらに、入管は、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」を指定したと報じられました。入管は、自らの裁量権を極大化するために、各種のルールを曖昧にし、秘密主義に徹しています。しかし、このままでいいのでしょうか。

【Timely Report】Vol.523(2019.11.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入国・在留審査要領:この際、全部出しちゃえば?」も参考になります。

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l  外国人を収容する施設に係る苦情や批判が絶えません。医療体制の不備や病人の放置、収容者の自殺、収容期間の長期化など、課題は山積しています。長崎県の大村入国管理センターでは6月末にハンガーストライキ中の収容者が死亡しました。痛みがあると訴えても、入管職員から「まだ生きているじゃないか」と言われたり、過去には、収容者の脈が止まっているのを職員が確認していながら、『詐病』と判断したケースさえあったといいます。

l  入管法に違反した外国人の収容や退去強制は、行政手続なので、裁判所を介することなく、入管だけの判断で実行することが可能であり、担当者のさじ加減一つで外国人の人生が左右されるのが現実。「入管の裁量が大きすぎる。行政の公平性はどこにあるのか」と批判する元入管職員の証言もあります。

l  入管は「手続を遵守しており、何ら問題はない」と強弁しますが、言葉の端々に、「外国人を人間と思っていない」という驕りが見え隠れ。安倍首相は、「世界から尊敬される日本、世界中から優秀な人材が集まる日本を創り上げていく」と述べていますが、その道程はまだまだ遠そうです。

【Timely Report】Vol.488(2019.9.11号)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「
入管は特高警察なのか?」も参考になります。

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l  安倍政権が打ち出した新たな「外国人労働者受け入れ策」を巡って、百家争鳴の状況になっています。そうした議論の高まりは、すでに国内に在留している外国人と入管との軋轢や摩擦をクローズアップさせ、収容所における入管の非人道的な振舞いなどを表面化させる役割を果たしています。

l  そうした議論や報道が、建設的で具体的な政策論の醸成につながっていけばよいのですが、8月16日の夕方、27歳の日本人男性が、トラックを運転して東日本入国管理センターの敷地内に侵入。中央ホールの自動ドアのガラスを割るという事件が勃発しました。警察に出頭した容疑者は、建造物侵入や器物損壊などの疑いで逮捕されましたが、動機は報道されていません。

l  行動を見る限り、確信犯であり、非人道的な収容で知られる東日本入国管理センターに対して、何らかのメッセージを発したかったのであろうと推察されますが、非人道的な行為に対して、非人道的な行動で応えても、事態は改善しません。権力で優る入管は、それを逆手にとって自らを正当化するだけ。迂遠に見えるでしょうが、具体的な政策論を積み上げていくしかないのです。
モロッコ, アフリカ, 砂漠, Marroc, 砂, 車, 砂丘, すべての地形
【Timely Report】Vol.229(2018.8.21)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。

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