l  「特定技能」は、実務家の検証を経ることなく、既存制度の継ぎ接ぎの上に、雑多な要望を混ぜこぜにしてしまった在留資格なので、様々な部分で不都合が出てきます。離職する外国人の転職支援を義務付けるというのは、その最たる事例ですが、銀行口座や携帯電話でも政策の矛盾が表面化しています。

l  「特定技能」では、すべての外国人の銀行口座を開設するように求めていますが、金融庁は、銀行に対して、マネーロンダリング対策を強化することを要請しており、安直な銀行口座の新設を戒めています。銀行からは、「アクセルとブレーキを両方踏むようなもの」という嘆き節が聞こえてきます。携帯電話に関しても、総務省が、外国人が携帯電話の契約をしやすいように手続きなどを簡単にするよう携帯各社に要請しましたが、世界標準であるプリペイド携帯を普及させようとはしません。犯罪での悪用を恐れるからです。

l  要するに、現場や実務を無視して、困難な課題を設定しておきながら、解決策については民間に丸投げ。当局側は「うまくやってくれ」と要請した形を作れば、「アリバイは完璧」というのでしょうか。

 【Timely Report】Vol.419(2019.6.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


  外国人と経済の関係に興味のある方は ➡ 外国人経済研究所 へ
移民に関する国際情勢を知りたい方は ➡ 移民総研 へ