全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

カテゴリ:在留資格 > 特定技能

l  鳴り物入りで導入された「特定技能」が遅々とした動きではありますが、徐々に進み始めました。各国との二ヵ国協定の締結も進捗し、外食分野や宿泊分野、自動車整備分野における許可など、業種にも広がりが見えてきました。

l  しかし、関係者にとって悩ましいのは「転職」。転職禁止の「技能実習」とは異なり、「特定技能」の場合、日本での就労が認められている業種の枠内であれば転職が自由です。特に地方では、「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が、特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏に行ってしまう」などの不安を抱く経営者が少なくありません。

l  実際は、転職の際に入管による在留資格変更許可が必要なので、簡便に転職できるわけではありませんが、転職先に入社するまでの間、「転職支援」がどこまで求められるか不明という問題もあります。そういうこともあり、「特定技能」の雇用が可能な企業に聞いても、「特定技能は検討していない」(45.2%)と「よく知らない」(18.4%)を合わせた消極派が3社に2社(計63.6%)。「特定技能」が「技能実習」を凌駕する日はまだまだ遠そうです。

【Timely Report】Vol.547(2019.12.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一流の外国人は日本に来ない?」も参考になります。


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l  298,980人の外国人留学生が、昨年5月時点で在籍していたことが分かりました。「留学生30万人計画」の達成は確実になりましたが、文部科学省からは、その後のビジョンが聞こえてきません。「偽装留学生」という批判が高まり、入管庁が管理強化に走る中で、「特定技能」が認められた手前、「留学生50万人計画」なんて掲げるべきではないという政策判断なのでしょう。

l  しかし、日本に求められているのは、実務的な解決策。国を挙げて、「日本語も話せない・日本の文化も知らない・日本に住んだこともない人たち」を、新しい在留資格である「特定技能」で大量に呼び寄せようとしていますが、「日本語はまあまあ話せる・日本の文化もある程度わかっている・日本に住んでいる人たち」である外国人留学生を活用するほうが格段に合理的です。

l  もっと言えば、新天皇の即位時に恩赦を実施し、軽いオーバーワークやオーバースティで収容されている外国人を放免して、一定期限までに在留資格を取得した場合、合法的な在留を認めるという施策もあり得ます。机上の空論で、日本に馴染みのない外国人を大量に招き入れるより得策なのでは・・・。
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【Timely Report】Vol.340(2019.2.4)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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l  建設労働者にIDカードを保有させ、就労データを管理する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の運用が始まりました。外国人にはCCUSの加入が義務付けられましたが、CCUSは、外国人のためのものではありません。元々は、技能を「見える化」することによって、技能に応じた賃金を保障することを通じて、建設労働者全体の処遇を改善するための仕掛けでした。

l  処遇が改善されない原因の一つは、日給ベースで計算し、稼働日数によって月給が変動する「日給月給制」。「特定技能」の外国人は、日本人と同等以上で「月給制」が義務付けられているので、「特定技能」を突破口にして、日本人労働者の処遇を改善したいという国交省の深謀遠慮が窺えます。その一方、業界が猛反発したため、CCUSでは現場入場の有無はわかりますが、入退場の時刻が記録されないため、残業代が計算できない仕組みになっています。

l  マスコミでは、「可哀そうな外国人」の話ばかりが掲載されますが、その背後には「可哀そうな日本人」がいるのかもしれません。外国人の問題として語られることの多くは、じつは日本人の問題でもあるのです。

【Timely Report】Vol.435(2019.6.26号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
留学ビザは締め上げられる?」も参考になります。

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l  「特定技能」の議論に絡めて、「韓国に学ぶべき」と語る人たちは、「韓国のように、ブローカーの関与を排除し国が仕切るべき」と声高に主張します。しかし、韓国においても、外国人労働者の生活環境は厳しいままであり、性的暴行や給料不払など、日本の「技能実習」でお馴染みの光景が、「雇用許可制」の下で繰り広げられています。不法残留者や外国人犯罪が問題視され、外国人労働者に関するトラブルが社会問題化しています。

l  国の関与で問題がなくなるのなら、「特定技能」の外国人に係る転職問題は、ハローワークに任せておけば解決するはず。果たしてそうでしょうか。無料のハローワークがあるのに、有料の人材大手が大儲けしているのはなぜなのか、理解しようとしない人が多すぎます。「労働者を搾取しているから儲けている」という発想から卒業できないのなら、問題は絶対に解決しません。

l  国が関与すればうまく行くという幻想は、現在のベネズエラを指摘するまでもなく、数多くの実例によって打ち砕かれてきました。日本でも、厚労省の統計スキャンダルが発覚したばかり。民間企業を巧みに活かすのが肝心です。

 【Timely Report】Vol.415(2019.5.29号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  同じ社内で外国人と働くことが増えると、問題になるのがコミュニケーションです。単に、言葉の意味の問題ではなく、文化の差異とか、考え方やアプローチの違いからくる勘違いなど、本気で一緒に仕事をしようと思えば思うほど、日々のマネジメントにおける悩みは深まるものです。

l  中でも怖いのが、「理解していない」のに「ハイ」と応えるケース。同国人から、「何か言われたらハイと答えておけばいい」と教えられて、理解しようともせずに「ハイ」を連発する輩は少なくありません。その結果として起こり得るリスクなどには無頓着で、「その場凌ぎの技」だけを身に着けている外国人が如何に多いことか。後で分かったときの被害は洒落になりません。

l  「特定技能」では、「外国人が十分に理解することができる言語」で諸事を説明することが求められていますが、そもそも理解する気がなかったりする相手に対してどうしろというのでしょう。N4の外国人に税金や年金を十分に理解させることなど到底不可能です。現場を熟知することなく、非現実的なルールを企業に押し付ける入管庁の感覚には恐れ入るしかありません。

【Timely Report】Vol.425(2019.6.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:大山鳴動して鼠一匹なのか?」も参考になります。

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l  「特定技能」は、今年度中に最大47,550人の許可が見込まれていましたが、12月6日時点で1,539人。見込みの3.2%に過ぎず、大山鳴動して鼠一匹。入管庁の担当者は、「新制度に対応する送り出し国の手続きがまだ整備中で、外国人への周知も十分ではない」と説明しますが、そういう言い訳でごまかしている間は、膠着状態が打開されることはないでしょう。

l  「技能実習」には問題が多いということで、「特定技能」には様々な規制が課せられました。しかし、肝心の「技能実習」に対しては、「特定技能」と同等の規制が課されていませんし、新設された「技能実習機構」が「技能実習」を改善するために大鉈を振るっている感じもありません。法令違反を犯した日立も改善命令止まりで、監理団体のフレンドニッポンは未だにお咎めなし。

l  入管は、「特定技能」を増やすために、「留学」という入口を一生懸命締め付けていますが、「技能実習」の入口を閉じようとする気配はありません。海外における「特定技能」の試験の合格率が低くても、延期されてもノーコメント。司令塔がなく一貫性や合理性がない入管政策には何も期待できません。

【Timely Report】Vol.609(2020.3.11号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:日本人の人口はもう増えない?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

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l  「特定技能」は、実務家の検証を経ることなく、既存制度の継ぎ接ぎの上に、雑多な要望を混ぜこぜにしてしまった在留資格なので、様々な部分で不都合が出てきます。離職する外国人の転職支援を義務付けるというのは、その最たる事例ですが、銀行口座や携帯電話でも政策の矛盾が表面化しています。

l  「特定技能」では、すべての外国人の銀行口座を開設するように求めていますが、金融庁は、銀行に対して、マネーロンダリング対策を強化することを要請しており、安直な銀行口座の新設を戒めています。銀行からは、「アクセルとブレーキを両方踏むようなもの」という嘆き節が聞こえてきます。携帯電話に関しても、総務省が、外国人が携帯電話の契約をしやすいように手続きなどを簡単にするよう携帯各社に要請しましたが、世界標準であるプリペイド携帯を普及させようとはしません。犯罪での悪用を恐れるからです。

l  要するに、現場や実務を無視して、困難な課題を設定しておきながら、解決策については民間に丸投げ。当局側は「うまくやってくれ」と要請した形を作れば、「アリバイは完璧」というのでしょうか。

 【Timely Report】Vol.419(2019.6.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  「特定技能」が導入されてから、1年半が経過しましたが、20206月末時点においても、「特定技能」で在留する外国人は5,950人しかおらず、浄化することが期待された「技能実習」(402,422人)の1.5%に過ぎません。

l  「技能実習」には、四半世紀以上の歴史があって勝手がわかっているほか、労働者各人の勤務先や職種・作業が在留資格にひもづけられ、転職が制限されているので使いやすい面があります。他方、転職の自由を謳う「特定技能」では、申請や運営における負担や義務が重く、雇用主側のインセンティブが働きません。特に建設に関しては、年会費(24万円)が必要になるほか、運営費用(1人当たり年間1524万円)がかかるなど常識外のコスト高です。

l  「技能実習」には、制度にそぐわない実態が多すぎます。一方、「特定技能」には、実務にそぐわない規制が多すぎます。この際、いっそのこと、「技能実習」を「特定技能」に統合して、規制の正常化を図るとともに、「特定活動(特定技能準備)」を「特定技能0号」として、正式に在留資格の体系に入れる方向で検討することが必要だと思われます。

【Timely Report】Vol.743(2020.11.2)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
専門学校は慎重に選びましょう!」も参考になります。

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l  「日系4世ビザ」が低調です。海外の日系人コミュニティからの熱望を受け、政治の肝煎りで創設されたにもかかわらず、昨年7月の導入以降、入管庁が見込んだ年間4000人の枠に対し、資格を得たのは43人(6月17日時点)だけと1%程度。顔を潰された政治家から苦言を呈せられたためか、入管庁が要件緩和に向けて検討に着手したという報道がありました。

l  これは、近年における入管行政の典型的なパターン。政治から緩和要望を受けたものの、嫌なので面従腹背を貫いて、大して覚悟することもなく、条件を厳しくする。その結果、緩和しても増えませんから、政治圧力を再度受ける。そして、一片の哲学もなく、小出しで緩和するから、制度がぐちゃぐちゃになる。「来日する外国人が共生するためにもN4だけは譲れない」などという守るべき一線がないから、ずるずるっとなし崩しになっていきます。

l  「日系4世ビザ」では日本語要件を緩和するとのこと。「特定技能」も同じ運命を辿るような気配があります。特に「介護」は、現場の人手不足に押されて、看護師試験の落第者を受け入れる等、何でもありになってきました。

【Timely Report】Vol.519(2019.10.29号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  東京行政書士会によれば、法務省は、入管への申請取次を登録支援機関に認める方針のようです。現在でも、企業や学校には、外国人社員や留学生に係る申請取次を認めているので、「登録支援機関には認められない」という理屈は見出し難く、そもそも行政書士の資格試験に入管法が入っていない以上、「行政書士は入管法の専門家だ」と主張するのも気が引けます。現実問題として、入管法に詳しくない申請取次行政書士が多数存在していることも事実ですし、東京行政書士会は、少数の仲間内で既得権益を独占するために、我流の解釈を振り回してきた張本人ですから、「高度な出入国管理及び難民認定法に精通する法的素養」などと主張するのは片腹痛い限りです。

l  入管法に関する最近の摘発事例や判例を会員に解説したり、実務上の留意点を研修することすらせず、試験に合格したばかりで顧客開拓に苦しんでいる行政書士を助けることもしないくせに、バカ高い登録費用を取り、毎月会費を徴収するのが東京行政書士会。要するに、「熾烈な価格競争」が嫌なだけ。本当に「高度な法的素養」の持ち主であれば、恐れることなどないのでは?


【Timely Report】Vol.370(2019.3.19)
より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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1.       いまから10年以上前の2006年に公表された「今後の外国人の受入れに関する基本的な考え方」(通称、「河野私案」。)を知っている方はいらっしゃるでしょうか。「河野私案」は、来たる人口減衰を踏まえた上で、あるべき入国管理制度を真正面から検討した意欲溢れる報告書でした。法務副大臣としてプロジェクトチームを立ち上げ、各方面からのパブリックコメントを踏まえた上で策定された「河野私案」は、いま読み返してみても色褪せることなく、現在の入管行政の問題点を的確に指摘しているように思えます。

2.       しかしながら、あらゆる「改革」がそうであるように、「河野私案」も、官僚たちの抵抗を受けました。法務官僚たちは、「河野私案」を棚上げした上で、自分たちに都合の良い部分だけ摘み食いするという得意技に走り、結局のところ、この10年間、入管行政は、肝心要の大きな論点については素通りし、重要な大枠の変更については手を着けず、「国際研修協力機構」に代表される天下り先の擁護に走り、問題が表面化したら民間に責任転嫁して、「外国人技能実習機構」という新たな既得権益を獲得するに至りました。

3.       入管の大本営発表を垂れ流すだけのマスコミを含めて、世の中的にはあまり知られていませんが、「技能実習」という制度は、白々しいほど明々白々な法律違反を白昼堂々と行っている稀有な公的制度です。ここまであからさまな法令違反は、「自衛隊(軍隊ではない)」と「パチンコの景品交換(博打ではない)」を除くと、ほとんどないと断言してよいでしょう。

4.       具体的に見てみましょう。「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」は、「技能実習」という在留資格によって許可される「活動」について、「申請人が修得しようとする技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと」と「申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること」を要件としています。要するに、同一の作業の反復で修得できる「単純作業」は絶対許されないし、中国やベトナムで営まれている業務はできないと明確に書いてあるわけです。

5.       ところが、その対象として認められている業種は、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、家具製作、印刷、製本、プラスチック成型、塗装、溶接、工業包装、紙器・段ボール箱製造、陶磁器工業製品製造、自動車整備、ビルクリーニング。技能試験などを捏造して、一応「技能修得」の形式は整えていますが、実態は「単純作業」そのものであり、中国やベトナムでも修得できる「技能」ばかり。法務省入国在留課長や東京入国管理局長などを歴任した坂中英徳氏は、著書『人口崩壊と移民革命』の中で、「もともと本音(単純労働者の受け入れ)を建て前(国際技術協力)で覆って作られた制度である」と喝破し、「まやかしの制度」と断言しているほどです。

6.       こうした入管制度の欺瞞は、世界中に知られています。20147月、国連の自由権規約委員会が「技能実習は『人身取引の一形態』である」と公然と批判しましたし、2020年のオリンピックでは、選手村で日本の野菜が使えないという問題に直面しています。じつは、2012年のロンドン大会から『競技者のため、おいしく、健康的で環境に優しい大会』というビジョンが打ち出され、選手村や報道センターで提供する食品に認証基準(GAPGood Agricultural Practice)が導入され、日本大会でもGAPの認証取得が求められることになっており、①食品の安全性、②環境の保全、③労働安全の確保が求められています。このGAPの③においては、過重労働などを防ぐためのチェック項目が定められており、「過重な労働を低賃金で強制している」という批判が強い技能実習生が係わった野菜は、東京五輪で使えないのです。

7.       もし10年前に、法務官僚たちが、「河野私案」を真剣に受け止め、自分たちの天下り先の確保という小さな省益を振り払って、技能実習制度の抜本的な改革を行い、「特定技能労働者」の導入や、日本企業における就労の実情に見合った「技術・人文知識・国際業務」の適用を実現していたならば、自国で開催するオリンピックにおいて、自国の野菜が使えないなどという極めて恥ずかしい思いをすることはなかったに違いありません。

8.       「河野私案」が的確に指摘しているように、現在の入管行政において、多くの問題点が生じていることは紛れもない事実です。しかし、入管官僚たちは、自分たちの怠慢や誤った行政を棚に上げて、雇用主の責任にすべてを転嫁してきました。今回の「技能実習制度」の改正などはその典型です。そもそもは、嘘を嘘で塗り固めた制度設計自体の問題が表面化しているだけなのに、すべての責任を雇用者側に押し付けて、自分たちは「悪い雇用者」を懲らしめる正義の味方を演じながら、「国際研修協力機構」という天下り先だけに満足せずに、「外国人技能実習機構」という新たな天下り先を設立するという見事な立ち回りを見せています。

9.       20177月の有効求人倍率は1.52倍と、435カ月ぶりの高水準。完全失業率も2.8%と3.0%を下回って推移しており、ほぼ「完全雇用状態」となっています。雇おうと思っても良い人が雇えず、雇ってみたら雇ってみたで「ブラック企業」と誹謗中傷され、ブラック社員と労働基準監督署と悪徳弁護士からの虐めに怯えるという「雇用地獄」が待っています。日本政府は、雇われる労働者の権利ばかりを重視して、雇う経営者の苦労や苦悩や悩みには無関心。そんな真っ暗闇の中で唯一の光明に見えた外国人雇用に対しても、入管から嫌がらせをされている経営者に同情してくれる有識者はいません。

10.   在留資格申請の現場では、入国・在留審査マニュアルに書かれていない事項で嫌がらせをされたり、同じ事柄について入国審査官によって判断が大きく異なったり、申請案件が長期間放置されてしまうなど、通常の行政では考えられない杜撰なオペレーションがまかり通っています。外国人観光客が急増する中、少なからぬ入国審査官が空港や港湾などの現場に駆り出されるだけでなく、200万人を超えて増える一方の在日外国人を抱えて、業務量が半端なく多いということについては大いに同情できるところですが、在留資格の許可・不許可は、申請者にとって人生に係る一大事。恣意的な審査結果によって、日本滞在を望む留学生たちを母国に帰国させ、日本に対して悪感情を抱かせることは、日本の国益から見ても決して得策とは思われません。

11.   20165月、「河野私案」から遅れること10年、自由民主党政務調査会の「労働力確保に関する特命委員会」は、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受け入れの基本的考え方」をとりまとめて、「河野私案」の骨格の一部を採用した案を日本政府に提出しました。しかし、具体的な動きにつながっているようには見えません。巷では「人手不足倒産」や「人手不足休業」が散見され、人手が足りずにフル稼働できない工場や店舗が増えています。この10年が、本当に「失われた10年」であったことを痛感する今日この頃です。

12.   「河野私案」は、「本音と建前の乖離が,外国人の受入れ体制を不備あるいは不十分なものとし,受け入れられた外国人,受け入れられた外国人を隣人として迎えることとなる地域社会の双方にとって不幸な結果をもたらしている」と断じ、改革なかりせば「失われた10年」になることを明解に予言していました。じつは、全国外国人雇用協会では、20171216日に、河野太郎衆議院議員を招聘して、「わが国入管行政のあるべき姿」をご講演いただくお約束を取り付けておりましたが、図らずも、第三次安倍第三次改造内閣において外務大臣の激務を担当されることとなり、緊迫した北朝鮮の脅威がある中、「約束を果たすことが難しい」というご連絡を先日いただきました。極めて残念なことでございますが、「次回は必ず」という河野大臣のお言葉を信じ、今回のTimely Reportに「河野私案」などの情報を掲載することで、講演会における談話に代えさせていただきます。
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【Timely Report】Vol.15(2017.9.3)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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「特定技能」は、天国か、地獄か?」も参考になります。

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l  「特定技能」を新設した入管法改正は、結局、外国人雇用の雰囲気を盛り上げて、「技能実習」を大幅に増大する結果になりました。201711月に施行された技能実習法では、優良企業(常勤職員41人~50人)の場合、受入可能人数を9人から60人に拡大しただけでなく、就労期間も最長3年から5年に延長。就労可能な職種も81種で、20年間で約20種増えています。

l  「特定技能だと逃げられますが、技能実習だったら、ウチが責任をもって逃げさせません」とセールスする監理団体も少なくありません。監理団体は、「特定技能」を邪魔することに必死です。この間、実習生は、働き手が集まりにくい業界で、地方を中心に就労するケースが激増していますし、様々な現場を支える重要な働き手として認識されています。

l  これに対し、入管庁は「特定技能」の受験資格を4月から大幅緩和します。観光客でも実習生でも失踪者でも、退学や除籍になった留学生でも、受験できるようになります。さらに経済産業省は、コンビニに対して「特定技能」の活用を示唆しました。果たして「特定技能」は巻き返せるでしょうか。

【Timely Report】Vol.639(2020.4.23号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入国・在留審査要領:コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。
異論・反論大歓迎ですので、是非、下記のコメント欄に、コメントをお寄せください。

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l  「特定技能」を導入してから半年を経過しても、取得者は732人に過ぎず、初年度想定の3%未満。特定技能で受け入れるのは9カ国ですが、先方の法令や手続が定まったのは、カンボジア、インドネシア、ネパールのみ。10月までに技能試験が開催されたのは6カ国で、日本語試験が開催されたのは4カ国だけ。技能試験が実施されていない業種が多いため、日本企業は人を受け入れたくても、受け入れられない状況が続いています。「特定技能」に期待を掛けた関係者の間には、「騙された感」が漂い始めました。

l  法務省は、諸外国との調整や試験の遅延を原因に挙げていますが、昨年7月の閣議決定で、「法務省は、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整を行う」と決まったのだから、司令塔としての辣腕を振るえばよいだけです。入管の現場には未だに外国人嫌いが目立ちますから、本音では受け入れたくない法務省が責任を転嫁しているだけとも感じられます。

l  監理団体が「技能実習」の長所と「特定技能」の短所を喧伝し続ける中で、「わざわざ特定技能にしなくても」と考える国や企業が着実に増えています。

【Timely Report】Vol.595(2020.2.20号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:入管は受け入れたくないのです?」も参考になります。

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l  評判の悪い「技能実習制度」の仕切り役は、「監理団体」なのですが、ものすごく政治力があって、裏技に秀でています。例えば、「技能実習」の技能検定をクリアした場合、「特定技能」に変更することが可能なのですが、そのときは、技能評価試験に合格した証拠(合格証)を入管に提出する必要があります。ところが、一部の監理団体では、技能評価試験の合格証を実習生に手渡さず、自分が発行する「表彰状」で代用しています。

l  「表彰状」には、「技能評価試験に合格した」と書かれているものの、「技能実習」から「特定技能」に変更するためには、技能評価試験の合格証が必要なので、この「表彰状」では何の役にも立ちません。要するに、「技能実習」から「特定技能」に変更されないように、監理団体が邪魔しているのです。

l  また、「特定技能」への変更を望む実習生が日本語能力を証明するためには、「技能実習生に関する評価調書」という書類を提出しなければならないのですが、その「評価調書」を提出する際に必要な署名捺印をしてくれない監理団体も少なからず存在します。「技能実習」の天下はまだまだ続きそうです。

【Timely Report】Vol.550(2019.12.11号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:監理団体の政治力はスゴイ!」も参考になります。


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l  新型コロナウイルスの煽りで、実習生が来日できず、生産活動を大幅に縮小せざるを得ない事業主が続出しています。農業分野では2,400人、水産業でも300人について来日の見通しが立たず、大幅な人手不足に陥っています。農水省は、他業種から人材を引っ張ってこようと躍起になっており、補助や支援を打ち出していますが、いまひとつ有効打にはなっていないようです。

l  こうした状況下、入管庁は、人手不足が深刻な業界に外国人材を供給するため、従来は許されていない他職種への再就職を容認する方向に転じました。禁じ手の封印を解いたと言ってよいでしょう。対象となる外国人は、技能実習の継続が困難になった技能実習生、解雇された「特定技能」の在留資格での就労者、内定取り消しとなった留学生などで、本人からの申請に基づいて「特定活動」の在留資格を与え、最大1年間の就労を認めることとしました。

l  この「特定活動」は、学歴も試験も必要のない在留資格。将来、「特定技能」になることが予定されているとはいえ、義務付けられているわけでもありません。雁字搦めの「特定技能」よりも人気が出る予感がします。

【Timely Report】Vol.675(2020.6.18号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「在留資格:外国人材に美容師は無理?」も参考になります。
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l  「特定技能」は相変わらず冴えませんが、新設された「特定活動(特定技能準備)」の評判はとても良いようです。ある人材会社は、この特定活動を使って、兵庫県の皮革会社で働いていたベトナム人実習生を、北海道の畜産農家に紹介。受入企業からも実習生からも大変感謝されたと報告しています。

l  この「特定活動」の良さは、「特定技能」に比べて実務が簡便なこと。まず、「特定技能」で必須とされる日本語と技能の評価試験の合格証がなくとも、「特定活動」の期間中に合格すればよい。しかも登録支援機関が不要。さらに、受入企業に対して大量で雑多な書面が求められないという点が秀逸です。

l  入管が「特定技能」を本気で根付かせたいのであれば、この「特定活動」を臨時異例の対策で終わらせるのではなく、正式に「特定技能0号」として、入管法上に位置付けるべきです。自由民主党の外国人労働者等特別委員会は、「技能実習生等の雇用維持支援措置を引き続き着実に実施する」「幅広い就労活動を認める『特定活動』の活用を促進する」と提言しています。「特定技能0号」を新設する舞台は整っているように思うのですが・・・。

Vol.706(2020.8.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「入管行政:「特定活動」で留学生を雇用する!」も参考になります。
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l  昨秋の臨時国会では、技能実習生の劣悪な労働環境が問題視され、一部の弁護士らが「これは失踪ではない。人権を蹂躙された故の緊急避難だ」と強弁した結果、盗みを働いた実習生でも、「誠実に働こうと思っていたのに」と告白すれば、悲劇のヒーローとして扱われるようになりました。

l  本来であれば、「技能実習」自体を改革すべきなのに、「特定技能」に矛先が向かった結果、摩訶不思議な制度が誕生。典型的なのが、「外国人の責めに帰すべき事由によらないで、雇用契約を解除される場合において、転職支援を行わなければならない」という義務と、「企業の責めに帰すべき事由により、外国人の行方不明者を発生させた場合、1年間、特定技能外国人を雇用できない」という罰則です。悪辣な弁護士は、必ずここを攻めてきます。

l  マスコミは、企業性悪説・外国人性善説に基づいて、「①悪い企業➡②搾取される外国人➡③正義の弁護士」という展開で語りがちですが、実際にこれから発生するのは、「嘘をつく外国人➡②悪徳弁護士➡③恐喝される企業」という地獄絵図。「特定技能」を扱う企業はディフェンスを固めるべきです。

【Timely Report】Vol.366(2019.3.13)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
特定技能:説明会に出ても分からない?」も参考になります。


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l  新聞記事の信憑性が薄れる背景には、「基本的な事項を調査してから、必要な取材をして、結論を出す」のではなく、記者が「結論を決め打ちし、その結論を導いてくれそうな人に取材して、基本的な事項を再調査しない」という実態があります。713日付けの大手新聞の記事は典型的な一例です。

l  「コロナショック→外国人解雇→転職ニーズ→特定技能の不具合」という筋書きを組み立てた上で、知り合いの業者にインタビュー。業者は、「解雇した企業やその労働組合が支援すべきだが、大体は『あとは自分でなんとかしろ』と放り出すだけ」と期待通りのコメント。そして、「特定技能」による介護分野での就労を外国人に勧めているが、「介護技能評価試験と介護日本語評価試験の両方に合格する必要がある」ので難しいという結論に導きます。

l  しかしいまは、将来「特定技能」に変更することを展望した「特定活動」が認められているので、試験合格は不要です。介護での就労に挑戦する外国人も増えています。折角、入管が画期的な対応をしているのに、事実を踏まえることなくケチを付けるのでは、入管があまりにも可哀そうです。

Vol.700(2020.7.27号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

  BLOG記事「経済政策:ロボ酒場のレモンサワーは高い?」も参考になります。
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l  自民党の外国人労働者等特別委員会は、623日に「提言」をとりまとめ、73日に、安倍総理大臣に提言書を手交しました。これを受けて、マスコミは、「特定技能の対象業種に、コンビニエンスストアや産業廃棄物処理を追加するよう求めた」と報じました。しかし、「提言」は、「コンビニエンスストア、運輸、産業廃棄物処理等の分野での外国人労働者の活用について更に議論を深め検討を行う」と記しただけであり、片山さつき委員長も、「業界・担当省庁の中で、人材確保のための努力を全部行ったが、人材がどうしても足りないので、万全の体制で受け入れるという所に至らなかったので継続審議にした」と公言。報道としては、「誤報に近い」と思われます。

l  気になったのは、留学生就職の部分。片山委員長は「特定活動等をうまく使って増やしていく」と総理に明言。「提言」も「本邦大学卒業生等を対象とした幅広い就労活動を認める『特定活動』の活用を促進する」と明記しています。「N1ビザ」の周知徹底に終わることなく、特例的に認めている「特定技能準備ビザ」の継続へと発展した場合には、とても大きな一歩になります。

Vol.696(2020.7.17号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  「特定技能」は、十分な検討を経ることなく、「技能実習」に課すべき規制をとりあえず全部入れろということで、考えられえる限りの山盛りの義務を導入したため、不具合が目立ちます。その一つが表面化しました。

l  それは、登録支援機関に課した「送迎義務」です。当初は、「送迎が安全かつ確実に実施できる方法であれば,車両(社用車や自家用車)を利用して支援を実施することも可能です」としていたものを、運送事業の許可がない場合、白タク行為として道路運送法違反に問われる可能性があるとして、急遽9月末に「登録支援機関が,車両を利用して送迎を行う場合については,道路運送法上の必要な許可を受けていなければ,道路運送法違反となる可能性が高いため,公共交通機関を利用してください」という文言を付け足しました。

l  さらに、「支援の実施に当たり,送迎に当たってタクシーを利用するなど必要な範囲で,補助者として,他の者に実施の補助を依頼することは差し支えありません」とまでご丁寧に書いていますが、そんなタクシー代を支払ってくれる受入企業があるとでも思っているのでしょうか。噴飯ものです。

【Timely Report】Vol.584(2020.2.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:「特定技能」は「技能実習」に敗北?」も参考になります。

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