全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

2021年01月

l  中華料理店「梅蘭」で従業員に在留資格外の活動をさせた事件は、昨年1222日に、運営会社である「源玉商事」の女性役員と法人としての同社を入管法違反(不法就労助長)で略式起訴することで決着しました。共に逮捕された弟の社長は不起訴処分。昨年1月1日から9月8日まで、東京都内などの4店舗で、中国籍の従業員7人に在留資格で認められていない接客業務などをさせたという容疑ですが、この従業員7人も不起訴となっています。

l  結局、入管のガイドラインにおいて、「技術・人文知識・国際業務」における現場研修が認められている中で、「資格外活動違反」を立件することは難しかったものの、正社員数が多く(2030人という説も)、「新入社員研修」というには長期間であった(5年という説も)ことに加え、逮捕時、姉弟ともに「資格外活動である」ことを認めていたことから、実質的な経営者であった姉と会社に罰金を課すだけで収めたということなのでしょう。

l  逆に言えば、ガイドラインを遵守し、家宅捜索時にきっぱりと否認していれば、逮捕されることもなかったはず。普段のコンプライアンスが大事です。

【Timely Report】Vol.7682021.1.6号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

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l  同じ社内で外国人と働くことが増えると、問題になるのがコミュニケーションです。単に、言葉の意味の問題ではなく、文化の差異とか、考え方やアプローチの違いからくる勘違いなど、本気で一緒に仕事をしようと思えば思うほど、日々のマネジメントにおける悩みは深まるものです。

l  中でも怖いのが、「理解していない」のに「ハイ」と応えるケース。同国人から、「何か言われたらハイと答えておけばいい」と教えられて、理解しようともせずに「ハイ」を連発する輩は少なくありません。その結果として起こり得るリスクなどには無頓着で、「その場凌ぎの技」だけを身に着けている外国人が如何に多いことか。後で分かったときの被害は洒落になりません。

l  「特定技能」では、「外国人が十分に理解することができる言語」で諸事を説明することが求められていますが、そもそも理解する気がなかったりする相手に対してどうしろというのでしょう。N4の外国人に税金や年金を十分に理解させることなど到底不可能です。現場を熟知することなく、非現実的なルールを企業に押し付ける入管庁の感覚には恐れ入るしかありません。

【Timely Report】Vol.425(2019.6.12号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:大山鳴動して鼠一匹なのか?」も参考になります。

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l  日本の雇用制度は、新卒一括採用・年功序列・終身雇用がセットになっており、1つでも欠けるとうまく回らなくなります。雇用制度の見直しに手を付けると、最終的には日本型雇用慣行そのもののが、解体につながっていくでしょう。日本型雇用制度はポストを増やせる成長期でなければ維持が難しいにもかかわらず、バブル崩壊後も従前の人事戦略を続けてきた日本企業は、中高年社員で過剰な雇用を抱えながらも、若年層で人手不足に陥っています。

l  これまでリストラを実施するのは業績が悪化した企業というのが定番でしたが、業績絶好調であるにもかかわらず、中高齢社員に関する大規模な早期退職を実施する先が出てきました。同時に、若手社員に高額の報酬を提示しつつ、年功序列を瓦解させる動きも浮上。今後は、即戦力の外国人を採用するためにも、実力主義で報酬を支払うことが求められます。

l  マクロ的な有効求人倍率だけに気を取られ、単純に「人手不足=好景気」という軽薄な認識をしていると、大きく見誤るでしょう。いま起きているのは、中高齢社員を切り、若手と外国人の採用を競い合う「雇用革命」なのです。

【Timely Report】Vol.587(2020.2.10号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「経済政策:「日本型雇用」は崩壊する?」も参考になります。

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