全国外国人雇用協会【BLOG】

入国管理法に係わる諸問題を解説しつつ、外国人雇用、人手不足、企業経営、日本経済、移民問題、多文化共生、国際情勢など、幅広く『外国人』と『雇用』に関する話題を取り上げます。

2019年08月

l  最低賃金がまた上がります。この政策が「強者の論理」であることに気付かずに、賛同している人たちが少なからずいますが、教祖であるアトキンソン氏の主張を吟味すると、その目的がよく分かります。

l  「私が社長を務めている小西美術工藝社が属している文化財修理の業界では、30億円の売り上げを20社で取り合っています。この業界に再編が起こり、20社が5社に経営統合されたとします。経営統合により会社の数は減りますが、国宝や重要文化財の修理予算は減りません。修理をする会社が減ったからといって、需要自体は変わらないからです。そのため、必要とされる職人の数もほとんど変わりません。一方、統合が進めば、企業の規模が拡大し利益が集中するので、より高度な設備投資などができますし職人の労働環境は安定します。研修もより充実させることが可能になります。過当競争が緩和され、より健全な競争が担保されるようにもなり、一人ひとりの専門性が上がって技術が上がります。いいことずくめです」―― 言うまでもなく、小西美術工藝社は生き残る5社の立場です。あなたは賛同できますか?

【Timel
y Report】Vol.508(2019.10.11号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「企業経営:「日本型雇用」は崩壊する?」も参考になります。

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l  米国グーグルの社員は、米税関・国境警備局(CBP)が「人権侵害」をやめるまでCBPからの仕事を受けないよう会社に求めました。CBPのクラウドコンピューティング契約の入札準備を進めていることに対して、疑問を呈したものです。実際、同社は、同様の請願を受けて、国防総省との人工知能(AI)の共同研究や、中国版検索エンジンへの取り組みから手を引いています。

l  また、米国ホールフーズの従業員グループも、米移民当局に協力していることを理由に、親会社であるアマゾンに抗議しています。アマゾンが、データ分析企業「パランティア」にサービスを提供していることを問題視。パランティアは、不法入国者の強制送還に使われている米国移民・関税執行局(ICE)向けのシステムを開発・提供しています。アマゾンWebサービスの従業員も、ICEとの協力を止めるように求める書簡を社内で回覧しました。

l  日本で例えると、パナソニックの社員が、外国人収容所における人権侵害を問題視して、入管から「顔認証ゲート」の受注をしないように求めるという構図になりますが、そういうことが起こる気配はありません。

【Timely Report】Vol.528(2019.11.11号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入管行政:一斉摘発で親子が離れ離れ?」も参考になります。

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l  6月24日、大村入国管理センターで、収容中の40代ナイジェリア人男性が死亡しました。長期収容に抗議し、ハンガーストライキをしていた男性は、自室で倒れているところを発見され、病院に搬送されましたが、亡くなったのです。しかし、入管は、原因を究明して、是正策を講じようとしません。それで8月8日、日本弁護士連合会は、第三者機関による調査を実施し、再発防止策を講じるよう求める声明を発表しました。

l  入管は、徹底的な秘密主義です。昨秋の入管法改正の国会審議において、法務省の開示資料に瑕疵があったために、実習生に対する聴取票2900枚を開示することになりました。ところが、その聴取票のコピーを認めず、野党議員が手で書き写すという喜劇がありました。毎日新聞がその公文書を情報公開請求したところ、内容が全部真っ黒に塗られた文書の山が届いたといいます。さらに、入管は、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」を指定したと報じられました。入管は、自らの裁量権を極大化するために、各種のルールを曖昧にし、秘密主義に徹しています。しかし、このままでいいのでしょうか。

【Timely Report】Vol.523(2019.11.4号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「入国・在留審査要領:この際、全部出しちゃえば?」も参考になります。

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8/28(水)15:00より、毎月1回開催しているビザフォーラムを行います。今回のテーマは、「本格的な人手不足時代到来!どうする?!~技人国・特定技能・アルバイト(基礎編)~」と題して、外国人材の採用と入管法対策の基本について、お話しいたします。

昨秋大騒ぎして導入した「特定技能」でしたが、許可された外国人は50人に満たず、初年度の見込み数32,800人~47,550人に大きく足りません。「日系4世ビザ」も「N1ビザ」も、枠の1%程度で終わる公算大です。

一方、入管による「偽装留学生狩り」は本格化。昨年中の在留資格取消は過去最大になりました。留学生アルバイトに頼っていた店舗や工場は、これから厳しくなります。また、「技人国」でビザをとって、製造業や飲食業やドラッグストアに派遣する違法行為も摘発されていく可能性大。今後の「人手枯れ」は必至です。

日々の業務を考える上で大変参考になると思われますので、参加を
ご検討いただけますと幸いです。お問い合わせは、☎ 03-6206‐8058まで。


会場は、
JR神田駅から徒歩5分の「ONE HUNDRED HALL」(東京都千代田区神田須田町1-28タイムビル3F)です。参加費は、通常、10000円ですが、全国外国人雇用協会の会員(入会費1000円・年会費【法人】2000円)になると、無料でご聴講いただけます。当日、受付でもご入会いただけますので、ご利用ください。


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l  624日、NHKが、ドキュメンタリー番組において、今治タオルの縫製工場で技能実習生たちが低賃金かつ劣悪な労働環境で働かされている様子を報じたところ、大反響となりました。番組終了後には、テレビに映り込んだ工場の建物をネットで特定する人が現れ、「森清タオル・オルネット」が問題の工場を運営しているとの誤った情報が広がり、誹謗中傷が殺到。NHKが否定コメントを出すという事態にまで発展しました。

l  NHKの番組制作者には、技能実習制度のヒドイ実態を世の中に伝え、世論を喚起し、制度改善につなげるという高邁な意図があったのでしょう。確かに技能実習制度には大きな問題があり、改善すべきであることは明らかです。

l  ところが、818日、そのNHKが、可哀そうな技能実習生に対して、受信料を集金に行ったところ、トラブルになったという事件が報じられました。集金人に対して、消火器を噴射した実習生に非があることは明らかですが、日本語が理解できない実習生に対して、「NHKを視聴しているはずだから、受信料を支払え」と自宅に押し掛けるというのはいかがなものでしょうか。

【Timely Report】Vol.524(2019.11.5号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  バブル期を中心に東南アジアから日本に出稼ぎに来たフィリピン女性たちは「ジャパゆきさん」と呼ばれました。「興行ビザ」で入国したフィリピン人は、2004年には約82000人にまで急増します。ところが、2005年に、「外国の教育機関での興行科目の2年以上の専攻」などの要件を加えて厳格化すると、2006年には8673人に激減。入管行政に振り回されました。

l  しかし、その間に、日本人との交流は自然と増えていきます。19952005年にフィリピン人女性と日本人男性の間には年間40005000人の子どもが生まれます。残念なことに、父親から認知や経済的支援を拒否されて、母子が貧困に陥るケースが少なくなかったとされています。

l  入管行政が扱うのは「人間」です。関税や輸入規制の対象となる「モノ」のように、「ルールさえ改定すればそれで終わり」というわけにはいきません。「特定技能」は、移民の数を自由自在に入管がコントロールできるという幻想の下で組み立てられており、危うさを感じます。だからこそ、入管庁は、細かなルールで厳格化して受け入れないようにしているのかもしれません。

【Timely Report】Vol.520(2019.10.30号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  2019年4~6月期の実質GDPは、内閣府が官邸と財務省の意向を忖度して、年率1.8%増となりましたが、実態と乖離している感があります。帝国データバンクの景気動向調査結果(7月)では、景気動向指数が8カ月連続で悪化。共同通信社のアンケートでも、国内景気が拡大していると答えた企業は23%(昨夏78%)にとどまり、「緩やかに拡大」と答えた企業が23%(同77%)で、「拡大」と答えた企業は皆無に(同1%)。景気ウオッチャー調査(7月)でも3カ月連続の悪化で、3年3カ月ぶりの低水準に沈みました。

l  足元では、人手不足倒産が急増。7月の全国企業倒産件数は、2年2カ月ぶりに800件を超えました。年間でみると、過去最悪を記録しそうです。そんな中、大企業では中高年のリストラが加速しており、早くも昨年の2倍に到達。「勝ち組」とみられているファーストリテイリングの柳井会長は、「平成の30年間は経済敗戦だ」と嘆き、著名投資家のジム・ロジャーズは、かつてアジアで最も裕福な国だったビルマを例に引いて、「日本はアジア最貧国に転落するかもしれない」と警告。楽観は禁物です。

【Timely Report】Vol.518(2019.10.28号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「特定技能:初年度見込みは大幅未達?」も参考になります。

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l  福岡県の旅館「泰泉閣」には、9人の外国人正社員が在籍しているのですが、入社して1年になるネパール人社員は、未だに宴会場の配膳を担当しています。ラウンジマネージャーは、「いつかはフロントのリーダー役を任せたい」と証言していますが、それでは「人文知識」の在留資格は出ないでしょう。訪日客も少ないと明記していますから、「国際業務」でも難しそうです。

l  首都圏で2000件以上の物件を管理してきたスターツファシリティーサービスでは、ミャンマー人6人を採用して、リニューアル工事や新商品開発などの中核部署に配置したと言いつつも、技能実習生の育成を担当させると明言。ビルクリーニングやホテルのベッドメーキングを担う実習生を指導するのなら、同じ業務に携わっていたのではないかという疑念が払底できません。

l  取材する側も、取材を受ける側も、在留資格に詳しくないので、誤解を招く表現になっている記事に時折出会います。かつて、日の丸自動車では、「技術・人文知識・国際業務」で100人雇うという記事が入管に知られたので、許可が出にくくなったという悲劇もあります。気を付けましょう。

【Timely Report】Vol.526(2019.11.7号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「日の丸交通はビザに苦しむ?」も参考になります。

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l  技能実習生を最低賃金未満で働かせていたとして、岐阜市で婦人服製造業を営む女性社長が5月下旬、最低賃金法違反と労働基準法違反の疑いで、岐阜労基署に逮捕されました。岐阜県の最低賃金(時給800円)を下回る時給405円しか支払わなかった疑いなどが持たれています。実習生たちから相談を受けた労基署は、20189月に是正勧告を出しましたが、社長は、改善しないばかりか、虚偽報告を行ったようです。

l  じつは、労基署は、警察と同様に「逮捕権」を持っています。これまでは、あまり実行されてこなかったのですが、最近、悪質な事例に関連して散見されるようになってきています。書類送検も珍しくはなく、約4割が起訴されています(2016年:送検890件・起訴364件・罰金362件・懲役2件)。

l  外国人関連では、実習生が圧倒的ですが、いずれ実習生以外でも、労基署が絡んでくると思われます。来年4月からは、中小企業にも刑事罰のある残業規制が導入されることもあり、逮捕権限に目覚めた労基署は、さらに強面になっていく可能性大。入管だけでなく、労基署にも注意が必要です。
警官, 女性警察官, 同僚, おかしい, フィギュア, 警察, 面白い【Timely Report】Vol.515(2019.10.23号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


  BLOG記事「製造業派遣は実刑になるのか?」も参考になります。

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l  717日、埼玉県川越市に本拠を持ち、食品製造業の業務請負・人材派遣・人材紹介に特化して営業していたASIA株式会社(代表取締役リン・ヴァン・ジュン)に関して、厚生労働省は労働者派遣事業の許可を取り消しました。20183月に創業した同社は、食品メーカーに絞って、人材派遣や人材紹介のサービスを行ってきましたが、1年半足らずで、正社員25人・登録スタッフ450人にまで急成長。12社以上の顧客に対して、日々120人以上のスタッフを派遣していたと言うのですから、まずまずの規模です。

l  同社の労働者派遣事業の許可が取り消されたのは、不法就労助長罪(入管法第73条の2第1項)によって罰金の刑に処せられたため。厚労省のプレスリリース以外では記事が報じられていないため、詳細は分かりませんが、不法残留者か、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を所持している外国人を食品メーカーに派遣していたのを摘発されたのだろうと推測されます。

l  以前より申し上げているとおり、一部の例外的な事例を除き、「製造業派遣」は明白な入管法違反です。「君子危うきに近寄らず」をお勧めいたします。

【Timely Report】Vol.527(2019.11.8号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事「製造業派遣は実刑になるのか?」も参考になります。

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l  日の丸交通は、外国人ドライバー採用のパイオニアです。2020年までに、外国人ドライバー100人の乗務を目標としています。同社では現在、35人の外国人ドライバーが乗務しており、間もなく40人になる予定。永住者や日本人配偶者等就労制限のない在留資格を持つことを採用条件にしていますが、今春認められた「N1ビザ」も、採用の射程に入れているようです。

l  2年前、同社の人事担当者は、「乗務員は単純労働とみなされるため、就労ビザが発給されない。このため外国人を乗務員としてとらえているタクシー会社での採用は進まなかった。これに対し日の丸交通では、観光業務に従事する高度人材として採用するため、国際業務ビザの取得が可能。正社員として雇用し将来の幹部候補として、本人の適性をみた上で乗務以外の部門への配置も検討する」と答えていましたから、採用姿勢は、じつのところ後退気味。

l  おそらく当時の記事が入管の知るところになったのでしょう。「業務量が足りない」という理由で、「技術・人文知識・国際業務」の許可が困難化したのだと思われます。マスコミに取り上げられるのも考え物です。

【Timely Report】Vol.509(2019.10.15号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report

BLOG記事
コンビニは本当に単純作業?」も参考になります。

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l  技能実習に対する批判が鳴り止みません。しかし、当制度の中核を担う監理団体は、政治力を駆使して、しぶとく生き残る可能性が高いと思われます。

l  「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」は、報告書に「失踪について帰責性がある実習実施者については,失踪後の一定期間,技能実習生の新規受入れができない旨省令等で規定すべきである」と明記し、山下法務大臣も、「特定技能制度の省令を参考に,技能実習制度でも,①失踪に帰責性がある実習実施者は技能実習生の新規受入れを一定期間停止する措置や,②口座振込み等による報酬支払を求める措置を導入することに向け,省令等の改正を迅速に検討することを指示しました」と明言しました。

l  しかし、「出入国在留管理基本計画」では、「技能実習法以外の法令による対応も含めた複合的かつ重層的な取組を行う」と曖昧になり、「経済財政運営と改革の基本方針 2019」においては、「技能実習生への報酬の支払いを適正化し、技能実習制度を適正化する」として、「②口座振込み等による報酬支払」だけで終わらせる方向になっています。監理団体の政治力は健在です。

【Timel
y Report】Vol.505(2019.10.8号)より転載。詳しくは、このURLへ。http://nfea.jp/report


BLOG記事「
監理団体が初の書類送検に!」も参考になります。


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